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「あれんじ」 2014年1月11日号

【熊本を知ろう〜熊本県松橋収蔵庫収蔵品から〜】
養蚕の用具「バラ」

 県民から寄贈された貴重な学術資料が約64万点収蔵されている熊本県松橋収蔵庫の収蔵品から熊本の歴史や文化、自然などを紹介します。今回は、養蚕の用具の一つ「バラ」についてお伝えします。

かつての養蚕を伝える用具 平たい籠「バラ」もさまざま

 カイコという蛾(が)の幼虫を育てて、サナギになるときに作る繭を取る仕事を養蚕といいます。この繭から取り出した糸が絹糸です。熊本県はかつて、西日本一の養蚕県と呼ばれるほど養蚕が盛んに行われていました。
 養蚕ではいろいろな用具が使われました。例えば、ある程度成長した幼虫は「バラ」と呼ばれる平たい籠の上で育てましたが、県内には、時代や地域、取引製糸工場との関係などにより、材料や大きさ、形、編み方などの異なるさまざまなバラがありました。
 丸バラは阿蘇、菊池、球磨地方で多く使われていました。網代バラは丈夫なので県内で広く使われていましたが、重いため、上・下益城地方や八代地方では木枠に簡単な底を付けた簡易バラや折衷バラ、細竹を格子に組んだだけのタケバラなどが考案されました。また、戦前、上熊本駅前に工場のあった郡是製糸と取引していたところではグンゼバラが使われていました。
 県松橋収蔵庫には約120点の養蚕用具が収蔵されています。現在、ほとんど行われなくなった養蚕ですが、こうした道具を通して、県内におけるかつての実態を知ることができると考えています。
 県松橋収蔵庫ではこのほかにも多種多様な生活文化に関する道具を収集整理し、調査研究や教育活動などに活用しています。
(県松橋収蔵庫 迫田久美子)


Data
簡易バラ
上益城郡山都町

熊本県松橋収蔵庫
宇城市松橋町豊福1695
Tel 0964(34)3301

開館時間/ 10時〜17時
休館日/土曜・日曜、祝日
入館料/ 無料
駐車場/ あり

※改修工事のため、平成26年3月まで展示は行われていません


網代バラ
上天草市姫戸町


丸バラ
球磨郡錦町


タケバラ
宇城市豊野町


グンゼバラ
山鹿市鹿本町


折衷バラ
下益城郡美里町