【四季の風】
第24回 初づくし
年が明けて、心も新たになりました。このちょっとした心の張りが、私は大好きです。 俳句は季節の詩ですので、この新年の「初」にはとても敏感で、たくさんの季語があります。それこそ、本を読む「読初(よみぞめ)」、書をかく「書初(かきぞめ)」、お茶なら「初釜」や「初茶湯(はつちゃのゆ)」。次の句など、まるで熊本を詠(よ)んでもらったようで、うれしくなります。 |
名水の湧きてあふるる初茶の湯 山口青邨(せいそん) |
とくに私が好きなのは、その年に初めて農作業をする「農始(のうはじめ)」や「鍬始(くわはじめ)」、初めて山仕事をする「斧始(おのはじめ)」や「山始(やまはじめ)」です。田畑や野山に入って、田の神や山の神に米や餅や塩などのお供えをして、一年の仕事の無事を祈るのです。いかにも自然と調和して生きる謙虚さが、ここにあります。 |