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「あれんじ」 2013年10月5日号

【熊本を知ろう〜熊本県松橋収蔵庫収蔵品から〜】
甲斐有雄資料

 県民から寄贈された貴重な学術資料が約64万点収蔵されている熊本県松橋収蔵庫の収蔵品から熊本の歴史や文化、自然などを紹介します。今回は、「甲斐有雄資料」についてお伝えします。

2000基の石道標(いしどうひょう)を建立 多くの記録も残した甲斐有雄

 みなさんは江戸・明治時代に社会事業家として活動した甲斐有雄(かいありお)という人物をご存じでしょうか。
 甲斐有雄は阿蘇郡尾下(おくだり)村(現・高森町尾下)に生まれ、石工を生業としながら、尾下小学校世話人や野尻村(現・高森町)村会議員などを務めました。
 一方で、旅人の便宜を図るため、阿蘇を中心に石道標(道しるべ)を建立したことで知られます。その総数は約2000基におよび、藩や県からたびたび表彰され、昭和33年(1958)には熊本県近代文化功労者として顕彰されています。
 また、甲斐有雄は非常に筆まめだったようで、石道標の建設を記した「石道標建設記」や数多くの日記により、当時の熊本の様子を知ることができます。
 その中でも、明治10年(1877)の日記には、自身が荷物運搬などに従事する軍夫として従軍した西南戦争について記しています。従軍体験に加え、熊本や鹿児島で見聞した情報やスケッチなども含まれており、民衆の視点で西南戦争を記録したものとして非常に興味深い資料といえます。
 県松橋収蔵庫では、ご子孫から寄贈いただいたこの甲斐有雄に関係する資料をはじめ、県内各地に残る資料を収集し、整理保存・調査研究を進めています。
 郷土の歴史を伝える古文書などの歴史資料は、県民共有の文化遺産として後世に残していく必要があります。資料の取り扱いや寄贈などのご相談も随時受付けていますのでお気軽にご連絡ください。       
(県松橋収蔵庫田中孝行)


Data
甲斐有雄

熊本県松橋収蔵庫
宇城市松橋町豊福1695
Tel 0964(34)3301

開館時間/ 10時〜17時
休館日/土・日・祝日
入館料/ 無料
駐車場/ あり
※改修工事のため、平成26年3月まで展示は行われていません


甲斐有雄道標


道標建設記(明治17年の記録部分)


明治10年日記(鹿児島城下のスケッチ部分)