【専門医が書く 元気!の処方箋】
いつまでも若々しく健康に! 中高年のための食事のヒント
食事は毎日の楽しみの一つではないでしょうか。しかし中高年になると、好きなものを好きなだけ食べられた若いころのようにはいきません。そこで、今回はいつまでも若々しく健康でいられるような食事のヒントをご紹介します。 |
バランスのとれた食事にするには |
健康的に暮らすにはバランスの良い食事を取ると良いと言われますが、日々の食事をすべて栄養計算して管理するなどは難しく、とてもできるものではありません。 |
<一汁三菜とは> |
一汁三菜とは、ご飯(主食)に汁もの、おかず3種(主菜1品、副菜2品)で構成された献立です。ご飯でエネルギー源となる炭水化物を、汁もので水分や野菜を、主菜でたんぱく質を取ることで、栄養をバランスよく取ることができます。 |
<野菜から先に食べると> |
【図1】 食後血糖値の推移(A)、食後インスリン値の推移(B)
食べる順番によって、食後の血糖値に影響を与えることが報告されています。 |
積極的に取りたいあぶらとは |
食べる順番も大事ですが、食事の質にもこだわると良いことがあります。脂肪というと肥満の原因としてできるだけ取らない方が良いと思われる方が多いと思います。しかし、あぶらの中にもできるだけ取りたくないあぶらと積極的に摂取することで健康になるあぶらがあります。そこで、特に積極的に取りたいあぶらについてお伝えします。 |
<健康になる魚のあぶら> |
日本人がどういった栄養素をどのくらい取れば良いかを厚生労働省が示した「日本人の食事摂取基準2010年版」には、オメガ3系脂肪酸として、男性では2・4g/日以上、女性は2・1g/日以上(50〜69歳)取ることを勧めています。代表的なオメガ3系のエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)の魚油からの摂取も併せて推奨しています。 |
<魚を食べましょう> |
【図2】 魚油の1日の必要量
実際に取るべき量の魚油を食品に置き換えてみると図2の通りになります。サンマだと中型1尾、マイワシだと2尾弱になります。これらはいずれも1日の量で示していますので、昼や夜に分けて食べていただいても構いません。 |
【図3】 魚油(EPAとDHA)の魚体内分布
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<エゴマ油を知っていますか> |
オメガ3系のあぶらは、主に魚介類から摂取できることをご説明しましたが、陸上の生物の中でもまれにこのあぶらを多く産生する植物があります。摂取すると冠動脈疾患のリスクが軽減されるとの報告もあるα–リノレン酸を多く含む油として亜麻仁油とエゴマ油が知られています。 |
おわりに |
中高年は働き盛りで、ついつい自分の身体のことは後回しにしがちです。仕事や家庭のことなどが次から次に押し寄せ、めまぐるしく毎日が過ぎていきます。しかし、その中でも自分の身体のことをしっかりと見つめる時間を持つことがとても大切です。定期的に体重を測定したり、健康診断を受けたりして、自分の健康状態を確認する機会を設けてください。 |
今回執筆いただいたのは |
熊本県立大学
環境共生学部 食健康科学科 友寄(ともより) 博子講師 博士(農学)、管理栄養士 |