【専門医が書く 元気!の処方箋】
矯正歯科治療 お母さん方が知りたい“5つ”のヒントQ&A
6月4日から10日まで「歯と口の健康週間」です。啓発活動によって子どもの虫歯は随分減っていますが、歯並びが気になる子どもが増えていると聞きます。 そこで今回は、矯正歯科治療についてお伝えします。 |
はじめに 矯正歯科治療はなぜ必要? |
矯正歯科専門医として、矯正歯科治療が必要な子どもたちを多く見受けます。その子どもたちや母親たちには、早い時期から必要な不正咬合の予防や矯正歯科治療の必要性に対する正しい知識や情報が伝わっていないように思われます。 |
考えたい子どものあごの発達 |
最近の子どもたちはあごの発達が悪く、「永久歯がきれいに並ばないのでは」とお母さん方からよく尋ねられます。 |
<ヒント1>Q.矯正治療は”いつから?“ |
写真1 ムーシールド症例
A. お母さん方からよく聞かれる質問です。健診などで尋ねた際「しばらく観察しましょう」「永久歯になってから治療を始めましょう」といった返事が返ってくると聞きます。矯正の専門家からしますと「何を観察するんだろう」、「永久歯になるまで何を待つのだろう」と考えてしまいます。心配なときは矯正に詳しい先生や専門家に相談してください。検査・診断を行い、本当に治療が必要で有効な治療法があるのであれば、何歳からでも始めるべきです。 |
<ヒント2>Q. ガタガタな子どもの前歯 ”どうしよう?“ |
写真2
A. 文明とともに食べ物は軟らかくなると聞きます。特に最近の子どもは軟らかいものを好んで食べる傾向が強く感じられます。軟らかいものを食べ続けるとあご自体が小さくなります。歯も一緒に小さくなれば問題はないのですが、歯は縄文時代の大きさと変わりません。 |
<ヒント3>Q. 歯が生えてこない”なぜ?“ |
A. 歯があごの骨の中に埋まっていることが考えられます。かかりつけ医にレントゲンを撮ってもらい、歯が埋まっていることが分かったら、矯正の専門医を紹介してもらいましょう。 |
<ヒント4>Q. 歯を抜く? 抜かない? ”矯正治療での選択は?“ |
写真3 抜歯症例
A. 最近、歯を抜かない治療が推奨されている風潮がありますが、症例によって異なります。あごや歯並びの幅を広げることで歯を抜かない治療ができる症例もありますが、歯が生えるスペースが著しくし不足している場合や上下の前歯の前後的なずれが大きい場合は歯を抜く治療を選択します。歯を抜かないと調和の取れた顔つきとかみ合わせを得ることができないからです。 |
<ヒント5>Q. 顔がゆがんでいる ”どういう治療があるの“ |
写真4
A. 矯正歯科治療とあごの手術が必要です。厚生労働省から指定された矯正専門医のいる施設や口腔外科専門医のいる施設では健康保険が適用されます。 |
写真5
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おわりに |
なぜ矯正歯科治療が必要なのか、もう一度考えてみましょう。 |
今回執筆いただいたのは |
医療法人伊東会 伊東歯科口腔病院
伊東 隆三 副院長 ・元福岡歯科大学大学院 歯科矯正学講座 助教授 ・熊本矯正歯科研究会会長 |