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「あれんじ」 2012年12月1日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第二十六回】当たり前のことを行う大切さ

女性医療従事者によるリレーエッセー 【第二十六回】

【第二十六回】当たり前のことを行う大切さ
済生会熊本病院
循環器内科医師
伊藤 美和

 医療の道に携わるようになって10年。良くも悪くも病態の変化が激しい循環器疾患に引かれ、循環器内科医として働いている。
 循環器科医の1日は慌ただしい。一般病棟や集中治療室の受け持ちの患者さん以外にも急患の対応に追われる。寒い季節になると心筋梗塞などの急患が増え、生死をさまよう重症の患者さんが複数同時に搬送されてきたりすると、緊張感が一気に高まり渾身の集中力が必要になる。多いときには緊急カテーテルを続けて行うこともある。大雑把に言えば、そんな仕事をやっている。
 循環器の患者さんの年齢層は幅広いが、ご高齢の方が多い。人生の大先輩ではあるが、どこか可愛らしくて癒やされる。患者さんに寄り添える時間は長く取れないけれど、「先生の顔を見ると安心する、元気が出るよ」と言われると、とてもうれしい。そして「診る側が元気でなければ患者さんに不安を感じさせることに繋がり、いい仕事はできないんだ」と得心させられる。
 不規則な生活が続くと、部屋は散らかり、その分心が乱れて、マイナスな気分になる。考えがマイナスになると仕事もはかどらない。そんなときはさっさと部屋を片付け、おいしいものを食べて、しっかり寝る。そうすれば、大抵のことはリセットされる。当たり前のことだけど、そんな小さなことをやるだけで心と体の健康維持になる。いい仕事をする上では大切だ。
 いつも自分の心身をチェックし、必要とされるときに必要に応えられる “いい仕事”ができればと思っている。