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「あれんじ」 2012年10月6日号

【見る・知る・たんぽ感じる 熊本まつり探訪】
威勢よく舞うみこし 益城、西原、菊陽を巡る 【お法使(ほし)祭】

写真提供:津森神宮

開催日:平成24年10月30日(火)
開催場所:西原村秋田・土林地区から西原村門出・田中・星田地区

熊本市電健軍電停から県道28号を西原村方面へ車で約30分
(問)秋田・土林のお法使祭実行委員会(古閑さん)
☎096(368)4876

12地区を巡る農業の神

 上益城郡益城町、阿蘇郡西原村、菊池郡菊陽町の2町1村12地区の担当地区に1年ごと御仮屋を建て行われる「お法使祭」。同地区の無形文化財にも指定され、「おほしさん」の名で親しまれています。
 祭りの起源は諸説ありますが、農業の神である女性神・天宇受売命(あめのうずめのみこと)が猿田彦命(さるたひこのみこと)の案内で益城町に降り立ち、津森神宮周辺の12地区を巡ったことが始まりという説も。祭りが行われるエリアが12地区と広範囲に渡り、ご神体が神殿を持たず御仮屋に鎮座するという全国的にも珍しい祭りです。


投げたり、ひっくり返したり手荒く扱われるみこし!

 当日は、御仮屋のご神体がみこしにしっかりと固定されます。神楽、獅子舞などが奉納されると、農業の神を載せたみこしは、地域の家々を回ります。
 この祭りの一番の見どころは、勇ましく掲げたみこしを、地にたたきつけたり、ひっくり返したりする光景。ご神体を載せた神聖なみこしをなぜ手荒く扱うのか謎も多いのですが、一説には地上に降りてくる際に霧がかかり道しるべをなくした神が、鶏の鳴き声だけを頼りに地上に降りてこられたときに、少し迷って右往左往された姿を現しているとも言われています。
 以前は、豊作を願い、少しでも長く自分たちの地区にとどまってほしいと、夕暮れまでみこしを担ぎ回り、次の地区にみこしを渡すのを引き延ばすこともあったそう。今年は、西原村の秋田・土林地区から門出・田中・星田地区へ受け渡しが行われます。


【教えてください】

「神と鶏の関係」

 ニワトリは、祭りの中で神を地に導いてくれた鳥としてあがめられています。戦前までは、ご神体を受け取る地区ではその1年間は、ニワトリを食べなかったそうです。
 またそのするどいくちばしで、悪いものを退治する鳥とも言われ、疫病がはやるとニワトリを解き放つ神事が行われることもありました。
 ニワトリは、死者の世界と通じる鳥でもあります。江戸時代の記録には、水難事故の際には船にニワトリを乗せて捜索をしたことが記されています。神や死者の世界と通じる鳥=ニワトリ。今の祭りではどのような位置づけなのか、見てみるのもおもしろいかもしれません。(談)

熊本大学60年史編纂室長
(前熊本大学大学院 社会文化科学研究科民俗学教授)
安田 宗生氏