【専門医が書く 元気!の処方箋】
発達障がいを理解しよう
「発達障がい」という言葉を耳にすることがあります。また、その中にもいくつかのタイプがあると聞きます。きちんと知らないことで、間違った対応をしてしまうこともあるようです。今回は、「発達障がい」についてお伝えします。 |
はじめに |
“個性”と“障がい”はどう違うのでしょうか? 以前は「子どもの持つ特性(発達の偏りやゆがみ、遅れなど)を、ある側面からみると障がいとなり、別の側面からみると個性(その子らしさ)となる」ものだと考えていました。 |
“障がい”ということ |
障がいについてもう少しお話しします。「はじめに」で述べた特性を心身機能という面から考えてみましょう。 |
発達障がいとは |
このように障がいを理解した上で、生まれた時から持っているいろいろな特性のために発達につまずきが出て、日常生活を送る上で困難が生じている場合に、それを発達障がいといいます。そのいろいろな特性には脳の働きが関係していますし、その困難な状態は通常18歳までに現れます。 |
注意欠如/多動性障がい(AD/HD) |
AD/HDの子どもたちは、7歳以前から、落ち着きのなさや考える前に動いてしまう衝動性、そして集中の続きにくさを持っています。こう書くと「それは小さい子どもなら誰しも見られる行動ではないか」と考えられることでしょう。その通りです。ただ、その行動がしばしば同年齢の他の子どもたちより著しいために、例えば、けがばかりしてしまうとか、お友達とトラブルになってしまう、集団活動にうまく参加できない、などの日常生活で不適応や困ることが強く見られる時、そしてその困難が園でも家でも、いろいろな所で起こっているという時にAD/HDと診断します。 |
自閉症スペクトラム障がい (以下自閉症とします) |
【図1】氷山モデル
自閉症の子どもたちは、脳の働き方(情報処理)に違いがあるため、周りの状況や人の気持ちをうまく捉えられないとか、好きなことに没頭してしまう、強いこだわりを持つ、などの特性を持っています。そのため、出現する障がいは社会性やイマジネーションの障がいと言われます。 |
学習障がい(LD) |
学習障がいには、いろいろなものがありますが、ここでは特に“読み書き障がい”について取り上げます。 |
おわりに |
本日ご紹介した対応方法は発達障がいだからやった方がいいというものではなく、通常の子育ての中でも使える方法ばかりだと思います。 |
今回執筆いただいたのは |
熊本県こども総合療育センター
小児科医 山田 みどり 医長 国立熊本病院(現熊本医療センター)や玉名中央病院を経て現職。自閉症への理解を広げたり、対応を考えるTEACCHプログラム研究会熊本支部副支部長 |