【熊遊学(ゆうゆうがく)ツーリズム】
意外な話に驚くことばかり! 柔らかい「岩石学」
先端の研究者をナビゲーターに、熊本の知の世界を観光してみませんか! 熊本大学を中心に地元大学の教授や准教授が、専門の学問分野の内容を分かりやすく紹介する紙上の「科学館」「文学館」。それが「熊遊学ツーリズム」です。第15回のテーマは「岩石学」。さあ「なるほど!」の旅をご一緒に…。 |
【はじめの1歩】 |
子どものころ、河原の石を集めたことがあって、世の中には美しい石がたくさんあることは知っているつもりでした。でも「岩石学」という学問になると、石のコレクションとは別次元の話です。いったいどんな堅い話が飛び出してくるのか、恐る恐るドアを叩きました。 |
Point1 変成岩は水の石? |
【図1】岩石採集の様子
岩石を大きく分けると、堆積岩、火成岩、変成岩の3つに分類されますが、中でも地球の循環作用によって作られる変成岩には、地球生成の記録が残されています。それを顕微鏡で分析したり、実験室で地球内部と同じ高圧下での反応を見たりして、地球の成り立ちを研究するのが熊本大学大学院自然科学研究科の西山忠男教授の「岩石学」です。 |
Point2 長崎でのヒスイ発見 |
【図2】西山教授が学生時代に発見したヒスイ
西山教授は九州大学4年生のころ(昭和52年)、卒業論文のために長崎県の西部に位置する西彼杵(そのぎ)半島を調査していた時、長崎市三重町の海岸で淡緑色のヒスイを発見しました。 |
Point3 さらに、長崎での世界的発見 |
その後、西山教授の研究グループは、三重町の北側にある琴海町(きんかいちょう)の小さな沢で、世界的に珍しい石英入りのヒスイを発見しました。 |
Point4 熊本での貴重な発見も真近!肥後変成岩 |
熊本にも珍しい石があります。「肥後変成岩」という岩石で、松橋(宇城市)から甲佐(上益城郡)にかけて東西に細長く分布しています。 |
【なるほど!】 |
「岩石は固体とは限らない」「変成岩は水の石」…、意外な話に驚くことばかり。あ〜、岩石は生きているんだ、地球は生きているんだ、と納得。私たちも地球の、宇宙の一部なんだと実感しました。 |
【メモ1】 ザクロ石が見られる世界一美しい場所 |
石に魅せられ、美しい石を求めて世界中を回ってきた西山教授が「世界一美しい場所」と太鼓判を押すのは、ザクロ石という変成岩が見られるノルウェーの海岸です。 |
【メモ2】岩石学から生まれた小説 |
地質調査をしていると、その地域独特の風土に触れる機会も多く、西山教授はその折々に感じたことを題材に、研究の傍ら小説も書いています。 |
【メモ3】人類は石から生まれた? |
「石を調べることで、地球の歴史をはじめ多くのことが分かります」と、西山教授は語ります。「極論ですが、人類も石から生まれたんですよ」 |
ナビゲーターは |
熊本大学大学院
自然科学研究科(理学専攻) 地球環境科学講座 西山忠男教授 地球は生きています。 |