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「あれんじ」 2011年12月3日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第十八回】笑 顔

女性医療従事者によるリレーエッセー 【第十八回】

【第十八回】笑 顔
熊本市 皮膚(ひふ)科医
山田 理(あや)子

 皮膚科の外来には、産まれて1カ月にもならない赤ちゃんから百歳を超えたお年寄りまで、毎日さまざまな方が皮膚にトラブルを抱えてやってこられます。痛みやかゆみなどの症状がある方はもちろんですが、見た目を気にして受診される方もたくさんいらっしゃいます。
 皮膚病は本人にも他人にも見えてしまうという点が厄介です。病気の軽重にかかわらず、見た目で悩まれている方はたくさんおられます。
 「原因はなんですか? 何が悪かったんでしょう?」
 「こんな病気は私だけでしょう?」
 「内臓からくる病気ではないですか?」
 患者さんからよくいただく質問です。患者さんの不安が解消されるようにと、十分な説明を心がけているつもりですが、その日の外来が終わった後、「あの患者さんに、理解していただけたかな? きちんと説明できたかな?」と反省することもしばしばあります。
 何回かの通院の後、皮膚の状態が見た目にも改善し、病気が良い方向に向かうようになると、初診の時には固い表情だった患者さんに笑顔が見られるようになります。皮膚科医としての喜び、やりがいを感じるときです。自分の力のなさに落ち込むこともありますが、この笑顔からパワーをいただいています。
 皮膚科医になって十年以上たちました。その間に結婚、妊娠、出産を経験し、ただいま育児の真っただ中です。現在は非常勤医師として主に外来診療に携わっておりますので、総合病院の常勤医時代と比べると時間的にゆとりはありますが、それでも家族の支えがなくては医師として働き続けることはできません。妻として、母として、子として、家族も笑顔でいられるように、感謝の気持ちを忘れず、これからも日々過ごしていきたいと思っています。