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平成28年度 第3回公開セミナー「健やかな子どもを育てる」

司会・講師


肥後医育振興会理事長
熊本大学名誉教授
医療法人丸田病院理事長・院長
西 勝英(にし かつひで)

【司会】
肥後医育振興会常任理事
くまもと江津湖療養医療センター総院長
遠藤 文夫(えんどう ふみお)

【座長】
熊本大学大学院生命科学研究部
小児科学分野 准教授
中村 公俊(なかむら きみとし)
 本日のセミナーのテーマである「健やかな子どもを育てる」は、単に子どもが病気にかからないようにすることだけを意味するものではありません。身体、精神、知能の発達の中で子どもの健康を保ち、将来、成人して子どもをもうけることまでを考えると、遺伝的なこと、社会的なこと、生活習慣なども関わってきます。
 幅広い内容を含むテーマではありますが、本日はその中でも、子どもの成長を見据え、発達障害、重症感染症、アレルギーに関して、3人の専門家にお話ししていただきます。
【講師】
久留米大学医学部小児科 主任教授
山下 裕史朗(やました ゆうしろう)

演題:講演@ 発達障害の子どもをうまく育てるコツ
【講師】
熊本地域医療センター・熊本県予防接種センター
小児科部長
柳井 雅明(やない まさあき)

演題:講演A ワクチンによる小児の重症感染症予防
【講師】
国立病院機構熊本医療センター小児科 医長
緒方 美佳(おがた みか)

演題:講演B どうする? こどもの食物アレルギー〜「食べさせない」のではなく「食べさせる」には?〜

セミナーの内容

  第60回肥後医育塾公開講座「健やかな子どもを育てる」が2月12日、熊本市西区のホテルニューオータニ熊本であり、約140人が聴講した。主催は公益財団法人肥後医育振興会、一般財団法人化学及血清療法研究所、熊本日日新聞社。
 熊本大学大学院生命科学研究部小児科学分野の中村公俊准教授が座長を務め、3人の講師が講演。まず久留米大学医学部小児科の山下裕史朗主任教授の「発達障害の子どもをうまく育てるコツ」、続いて熊本県予防接種センターの柳井雅明小児科部長の「ワクチンによる小児の重症感染症予防」、後半は「どうする? こどもの食物アレルギー」と題し国立病院機構熊本医療センター小児科の緒方美佳医長が話した。最後に会場からの質問に答えるQ&Aコーナーがあった。

ホテルニューオータニ熊本(熊本市西区)で開かれた公開セミナー。約140人が参加し、各講演に熱心に耳を傾けた
聴講者からの質問に答える登壇者

Q&Aコーナー「あなたの質問にお答えします」

親にもグレーゾーンの発達障害がある場合、理解を深める(良い親子関係を保つ)ことができますか。
山下 養育レジリエンスに関係する3つの要素(特性理解、肯定的受容、社会的支援)をうまく伸ばすことで可能だと思います。適切な支援を受けられるよう、養育者にも病院で治療を受けてもらうことが必要な場合があります。神経発達症の子どもの育児はマラソンのようなものですので、養育者も息長く対応してもらえればと思います。

3歳の息子が卵アレルギーで負荷試験をし、いまは問題なく卵を食べられます。下の1歳1カ月の娘は乳成分アレルギーです。2月から保育園に通っていますが、今後はどのように乳製品を口にさせればいいか分かりません。
緒方 病院で牛乳を飲んでみるのが一番安心です。まずはかかりつけ医に相談して、必要に応じて専門医を紹介してもらってください。

1歳前から子どもを保育園に預けていますが、よく熱を出します。予防接種をスケジュール通りにするにはどうすればいいですか。
柳井 予防接種はスケジュールよりも、回数をきちんとこなすことが必要です。遅れた場合は同時接種をして、必ず回数をこなして追いついてください。

小学5年生の学習障害の娘がいます。高校への進学で悩んでいます。学習障害の人たちはどのように進学していくのでしょうか。
山下 現在は、理解のある私立高校や単位制高校への進学が多いようです。高校では、子どもの状況に合わせて、パソコンやICレコーダーの使用を学校にお願いするケースや、スクールカウンセラーを活用する場合もあります。大学入試センターでは、医師の診断書と高校の校長からの状況報告書等があれば、大学入試で特別な対応を行うようになりました。その影響もあって2018年度から、一部の高校で通級指導(通常学級での障害の程度に合った指導)が行われる予定です。

10カ月の子どもが胃腸炎にかかり、ミルクを飲むと下痢や血便があります。乳糖不耐症ではないかと言われました。ミルクアレルギーの検査は可能でしょうか。
緒方 胃腸炎の後などに、牛乳や母乳に含まれる乳糖をうまく分解できないことで起こる乳糖不耐症と、免疫反応であるミルクアレルギーは異なります。主に新生児期に発症することが多い乳幼児消化管アレルギー(FPIES)の可能性も考えられます。まずは、血便を起こすアレルギー以外の病気を除外することが必要だと思います。