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平成28年度 第1回公開セミナー「認知症」

司会・講師

【司会】
肥後医育振興会常任理事
くまもと江津湖療育医療センター総院長
遠藤 文夫

【座長】
肥後医育振興会理事長
熊本大学名誉教授
医療法人丸田病院理事長・院長
西 勝英

【講師】
山口県萩市 金谷天満宮宮司
陽 信孝(みなみ のぶたか)

演題:八重子のハミングに寄せて
【講師】
熊本大学保健センター教授
藤瀬 昇

演題:早期認知症と高齢者のうつ病
【講師】
熊本県健康福祉部長寿社会局
認知症対策・地域ケア推進課課長補佐
美並 典壱(みなみ のりかず)

演題:熊本県における認知症施策の推進について
【講師】
桜十字病院看護部副看護部長
今村 加代

演題:やさしく見守る―認知症患者さんへの心遣い

セミナーの内容

  第58回肥後医育塾・第17回日本早期認知症学会学術大会県民公開講座「認知症〜上手な予防、上手な介護〜」が9月18日、熊本市中央区の鶴屋ホールであり、約400人が聴講した。公益財団法人肥後医育振興会、一般財団法人化学及血清療法研究所、熊本日日新聞社の主催で、第17回日本早期認知症学会学術大会との共催。
 第一部の記念講演では、山口県萩市の陽信孝氏が自身の介護体験を話した。第二部では、精神科医師で熊本大学保健センター教授の藤瀬昇氏、県認知症対策・地域ケア推進課課長補佐の美並典壱氏、桜十字病院副看護部長の今村加代氏の3氏がそれぞれの立場から講演。最後に会場からの質問に答えるQ&Aコーナーがあった。

鶴屋ホール(熊本市中央区)で開かれた公開講座。約400人が訪れ、認知症の現状や介護体験、県内の取り組みに熱心に聞き入った
妻に聴かせていたというハーモニカを会場で披露する陽氏
聴講者から寄せられた質問に答える登壇者

Q&Aコーナー「あなたの質問にお答えします」

82歳男性。2、3時間前のことが思い出せません。もの忘れ科の医師には健忘症といわれています。普通に生活できますが、認知症でしょうか。
藤瀬 健忘とはもの忘れのことですが、まだ確定診断にまでは至っていないのかも知れません。初期には、近時記憶障害だけが目立つ場合も少なくありませんが、率直に担当医にお尋ねになられて良いと思います。

73歳女性。ここ1年、77歳の夫のもの忘れが進み、イライラして優しくできません。どうしたらいいでしょうか。
今村 自分がそうなったときどうするか、考えてみてはいかがでしょうか。相手に共感することから心遣いが生まれると思います。
西 相手が病人であるという認識を持たれて、優しく接するよう心掛けてください。

85歳男性。人と話をするときは適当な言葉が出てきませんが、時間をかければ思い出し、文章にするとうまく書けるのです。妻はもの忘れ外来の受診を勧めますが、私は行きたくありません。しかし最近は、軽度認知障害(MCI)という言葉を聞きますので、自分もそうなのかもしれません。
藤瀬 MCIは、記憶力が全く正常ではないが、病的でもない状態をいいます。ご心配であれば一度、検査を受けられても良いかもしれません。
西 MCIから認知症になる方は50%います。MCIと診断されても「ぼけてたまるか」という精神で、運動療法など、さまざまな刺激により、認知症に至らなかった方もいますので、病院を受診されて、適切な治療を受けられたほうがよかろうと思います。

47歳女性。母が早期認知症と診断されました。同居する父は威圧的な態度で母に接するため、母の精神状態が不安定になる一方です。介護する側の意識を変えることはできますか。どんな支援が受けられるでしょうか。
美並 市町村の地域包括支援センターや医療機関、介護サービス事業所、認知症カフェなどが支援していますが、コールセンター「認知症ほっとコール」には、実際に認知症の方を介護された経験者を配置しておりますので、質問の件については、そちらにご相談いただければと思います。

58歳女性。何種類も薬を飲んで、認知症が進むことはないのでしょうか。
西 私は以前、薬の研究開発をしておりましたが、高血圧の薬の中には、血圧が下がりすぎて非常に意欲が低下する薬があります。意欲が低下すると忘れ物が多くなります。また、睡眠薬を長く飲んでいると、昼間も眠くなり、計算能力や作業能力が落ちてきます。症状に合わない薬や長期服用は、認知症に似た症状になることがありますので注意が必要です。