肥後医育塾公開セミナー

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平成24年度 第2回公開セミナー「女性のための医療」〜リウマチ膠原病と自己免疫疾患〜

司会・講師

【司会】
肥後医育振興会常任理事・熊本大学大学院生命科学研究部小児科学分野教授
遠藤 文夫

    【司会】
    肥後医育振興会常任理事・熊本大学大学院生命科学研究部小児科学分野教授
    遠藤 文夫

【座長】
国立病院機構熊本医療センター院長
河野 文夫

    【座長】
    国立病院機構熊本医療センター院長
    河野 文夫

【講師】
くまもと森都総合病院(旧NTT西日本九州病院)リウマチ膠原病内科部長
中村 正

演題:講演@「関節リウマチについて」
    【講師】
    くまもと森都総合病院(旧NTT西日本九州病院)リウマチ膠原病内科部長
    中村 正

    演題:講演@「関節リウマチについて」
【講師】
九州大学大学院病態修復内科学分野准教授
堀内 孝彦

演題:講演A「口のかわき、目のかわき〜知っておきたいシェーグレン症候群の知識〜」
    【講師】
    九州大学大学院病態修復内科学分野准教授
    堀内 孝彦

    演題:講演A「口のかわき、目のかわき〜知っておきたいシェーグレン症候群の知識〜」
【講師】
順天堂大学医学部膠原病内科教授・順天堂大学医学部附属順天堂医院院長
崎 芳成

演題:講演B「女性の膠原病〜全身性エリテマトーデス〜」
    【講師】
    順天堂大学医学部膠原病内科教授・順天堂大学医学部附属順天堂医院院長
    崎 芳成

    演題:講演B「女性の膠原病〜全身性エリテマトーデス〜」

セミナーの内容

  第47回肥後医育塾公開セミナー「女性のための医療〜リウマチ膠原病と自己免疫疾患〜」が10月20日、熊本市中央区水前寺公園のホテル熊本テルサであり、約500人が受講した。公益財団法人肥後医育振興会、一般財団法人化学及血清療法研究所、熊本日日新聞社が主催、熊本膠原病研究会が協力。
 国立病院機構熊本医療センター(熊本市)の河野文夫院長が座長を務め進行。女性に多いといわれるリウマチ膠原病の病態や最新の治療法などについて専門医3氏が講演した。来場者の質問に答えるパネルディスカッション・Q&Aコーナーもあった。

女性に多いといわれるリウマチ膠原病の治療法などについて紹介された第47回肥後医育塾公開セミナー=熊本市中央区水前寺公園のホテル熊本テルサ
女性を中心に約500人が参加し、専門医らの講演に熱心に耳を傾けた
パネルディスカッション・Q&Aコーナーで来場者の質問に答える専門医ら

パネルディスカッション・Q&Aコーナー

88歳の叔母は両手の指の第1関節がすべて変形しています。病院で関節リウマチではないと言われたそうですが、65歳の私も最近、人差し指の第1関節が変形しだし、関節リウマチではないかと心配しています。
関節リウマチは通常、指の第2・第3関節に病変が起き、第1関節の場合は、まれです。指の変形は遺伝ではなく、加齢が要因の変形性関節症と思われます。

68歳女性です。30代のときに整形外科で関節リウマチと診断され、免疫調節薬を長年飲んでいましたが、副作用が出て、服用をやめました。今はリウマチ反応が出ていません。これから症状が進行することはありますか。
関節リウマチは30〜40代の女性に多く発症し、治療薬は副作用として、腎臓障害が出ることがあります。治療にあたって今後どのような薬を選択するか重要なので、現在の疾患活動性を評価するためにも、ぜひリウマチ専門医を受診してください。

全身性エリテマトーデスと診断された後、第1子(女の子)を出産、その子の皮膚に新生児ループスが出ました。生後半年過ぎて症状は消えましたが、将来は母親と同じ病気になるのでしょうか。また第2子を産むと、その子にも新生児ループスが出ますか。
第1子の新生児ループスは母体の抗体が原因なので、お子さんが将来、発症する確率はかなり低いと思われます。第2子については、母体に、原因となった抗体が存在していると、症状が出る可能性があります。母体の治療には、血液中の悪い成分を取る血漿(けっしょう)交換療法、免疫反応を抑える治療法などがあります。

44歳女性です。眼科医からシェーグレン症候群の疑いがあると言われましたが、レーシック手術をすることは可能でしょうか。
レーシック手術は近視の人の角膜を削る治療法ですが、手術後にドライアイがひどくなることがあります。涙の殺菌・抗菌作用が働かないと感染症のリスクが高まるため、手術はあまりお勧めできません。

シェーグレン症候群と診断され、眼科で両目の涙腺の手術を受けました。その後、ブドウ膜炎が判明し目薬だけの治療を受けています。失明する可能性もあるそうですが、このままの治療法でいいのでしょうか。
原発性のシェーグレン症候群だけでブドウ膜炎を発症するケースは少ないので、ほかの膠原病が基礎にある可能性もあります。ぜひリウマチの専門医を受診し相談してください。

2年前に関節リウマチと診断され、メトトレキサートと生物学的製剤による治療を行っています。治療を始めて1年3カ月ほどで症状が悪化し、先月やっと落ち着きました。治療をしていても病気は悪化するものですか。
最初に効いていた薬が、その後効かなくなることはあります。薬を変えたり、薬の量を増やしたりして対処しますが、その際、症状が悪化した要因は何かを見極めることが重要です。

シェーグレン症候群とバセドー病を併発しています。いま一番困っているのは、日光過敏です。和らげる方法はありませんか。
現状、日光過敏を和らげる薬はなく、服装などの工夫で直射日光を避ける以外に有効な方法はありません。

強皮症と診断されて7年目です。レイノー症状が強く出て、朝冷えると指が真っ白になります。いま薬は飲んでいません。発症後、体重が10キロ減っていることが一番気になります。
血流改善剤の服用をお勧めしますが、症状緩和に2〜3年かかることもあります。体重減少は、強皮症に多く見られる腸管の働きの悪化が原因かもしれません。少量の食事を1日に4回取るなど食生活を工夫してみることも、改善に向けた一つの方法です。