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平成22年度 第1回公開セミナー「脳と頭頸(とうけい)部のがんを考える」

司会・講師

【司会】
肥後医育振興会常任理事・熊本大学大学院 生命科学研究部小児科学分野教授
遠藤 文夫

【座長・講師】
肥後医育振興会常任理事・熊本大学大学院 生命科学研究部分子病理学分野教授
山本 哲郎

【講師】
癌研究会有明病院頭頸科部長
川端 一嘉

演題:耳鼻科のがんについて〜話せなくなる、食べられなくなる、容貌が変わる…その前に〜
【講師】
熊本大学大学院生命科学研究部顎口腔病態学分野教授
篠原 正徳

演題:舌がん、下顎(かがく)歯肉がんの症状と治療法について
【講師】
熊本大学大学院生命科学研究部脳神経外科学分野教授
倉津 純一

演題:脳腫瘍について〜決して稀(まれ)な病気ではありません〜

セミナーの内容

  第40回肥後医育塾公開セミナー「脳と頭頸(とうけい)部のがんを考える」が7月10日、熊本市のホテル熊本テルサで開かれ、約500人が聴いた。主催は、公益財団法人・肥後医育振興会、一般財団法人・化学及血清療法研究所、熊本日日新聞社。後援は、熊本県、熊本市、熊本県医師会、熊本大学医学部。
 肥後医育振興会常任理事で熊本大学大学院生命科学研究部の遠藤文夫教授が司会、同研究部の山本哲郎教授が座長を務め、癌(がん)研究会有明病院(東京都)の川端一嘉医師ら専門医3人が、口の中にできるがんや脳腫瘍(しゅよう)の諸症状、治療法などを解説した。
 続く「Q&Aコーナー」では、山本教授の司会進行のもと、講師全員が登壇。来場者から事前に寄せられた質問などに答えた。要旨を紹介する。

約500人が参加した第40回肥後医育塾公開セミナーの会場 =熊本市のホテル熊本テルサ
「Q&Aコーナー」で会場の質問に答える講師ら

Q&Aコーナー〜会場と質疑応答〜

59歳男性です。以前、転移性脳腫瘍と診断され、放射線治療を受けました。また、最近受けた画像診断で「胸に影がある」といわれましたが、脳にがんが再発している可能性があるでしょうか。
「胸に影がある」ということですから、可能性はあります。過去に肺がんを発症し、がんが脳に転移した経緯があるということならば、再発もあるということを念頭に置き、定期的な検査が必要だと思われます。

43歳の弟が舌がんになり、手術で舌半分と、転移した右頸部(けいぶ)リンパ節を切除しました。がんは通常、どのくらいの早さでリンパ節に転移するものですか。
転移の速度は、がんの悪性度や増殖能などによって異なり、個々のケースでまちまちなため、一概にどれくらいとは言えません。治療側からすると、早さよりも、がんがいくつ転移したか、口からどの程度遠い所まで転移したか、周囲と癒着するような転移になっていたか―などが治療する上で重要です。

60歳女性です。40歳代のころから右耳の下にうずら豆大の腫瘍があり、摘出手術を勧められています。切るべきでしょうか。
耳下腺(じかせん)の腫瘍の可能性があると思われます。耳下腺にできる腫瘍は大多数が良性ですが、悪性の場合もあり、耳鼻科を受診することは必要と思います。CTやMRIなどの画像診断と、細胞診で悪性か良性かを診断できます。腫瘍の大きさが変わらず症状がなく、検査して結果が良性と分かり、ご本人が切りたくないということであれば、すぐに摘出しなくても構わないと思います。ただ、悪性への変化などを見逃さないために、今後も経過を見てもらうことが必要でしょう。

3年前に脳腫瘍の手術を受けました。これまで症状はないのですが、再発の可能性はありますか。ちなみに、3カ月〜半年ごとにMRI検査を受けています。
脳腫瘍の種類によって再発の可能性は異なります。3カ月〜半年ごとにMRI検査を受けられているそうですが、治療が厄介な「グリオーマ」も、3カ月ごとに検査するケースがあり、その場合、再発の可能性が高いと思われます。例えば髄膜腫なら、半年〜1年ごとの検査が一般的です。髄膜腫は多くの場合、良性ですが、再発の危険性はゼロではありません。ちなみにCT検査は被ばく量が多く、体に負担が掛かるため、半年おきの検査が必要な場合は、MRIの方が良いと思います。

つばを飲み込むとき、のどに魚の骨が引っ掛かったような感じがします。6カ月ほど前に「逆流性食道炎」と診断されました。がんの心配はないでしょうか。今ものどの奥がコロコロした感じで、声もかすれがちです。
逆流性食道炎の場合、のどに違和感が生じたり、声がかすれたりといったこともあります。耳鼻科で内視鏡検査をしてもらえば、原因がはっきりすると思います。