肥後医育塾公開セミナー

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平成19年度 第3回公開セミナー「関節リウマチを考える」

司会・講師

【司会】
肥後医育振興会常任理事 熊本大学名誉教授
西 勝英

    【司会】
    肥後医育振興会常任理事 熊本大学名誉教授
    西 勝英

【座長】
熊本大学大学院医学薬学研究部運動骨格病態学分野教授
水田 博志

    【座長】
    熊本大学大学院医学薬学研究部運動骨格病態学分野教授
    水田 博志

【講師】
鹿児島大学大学院歯学総合研究科 感染防御学講座免疫病態制御学分野教授
松山 隆美

演題:『関節リウマチとはどんな病気か』
    【講師】
    鹿児島大学大学院歯学総合研究科 感染防御学講座免疫病態制御学分野教授
    松山 隆美

    演題:『関節リウマチとはどんな病気か』
【講師】
熊本大学医学部付属病院整形外科講師
中村 英一

演題:『関節リウマチの手術について』
    【講師】
    熊本大学医学部付属病院整形外科講師
    中村 英一

    演題:『関節リウマチの手術について』
【講師】
熊本整形外科病院副院長
束野 通志

演題:『関節リウマチの薬物療法について』
    【講師】
    熊本整形外科病院副院長
    束野 通志

    演題:『関節リウマチの薬物療法について』

セミナーの内容

 関節リウマチに悩む人は全国に70万人とも100万人ともいわれる。「難病」として恐れられるこの病気をテーマにした、第33回肥後医育塾公開セミナー「関節リウマチを考える」が3月9日、熊本市水前寺公園の熊本テルサで約500人が参加して開かれた。(財)肥後医育振興会、(財)化学及血清療法研究所、熊本日日新聞社が主催し、熊本大学、熊本県、熊本市、熊本県医師会が後援した。
 肥後医育振興会常任理事で熊本大学名誉教授の西勝英氏が司会、同大大学院医学薬学研究部教授の水田博志氏が座長を務め、関節リウマチの諸症状、原因などの基礎知識をはじめ、最新の薬物療法や手術などについて、関節リウマチに詳しい医師3氏が講演した。その後、会場と質疑応答する「Q&Aコーナー」が設けられ、関節リウマチについてトータルな観点から理解を深めた。

約500人が参加した第33回肥後医育塾公開セミナー「関節リウマチを考える」=熊本市水前寺公園の熊本テルサ
講演後の「Q&Aコーナー」で会場の質問に答える講師陣。関節リウマチの諸症状や対応策、薬物療法などについて多くの質問が寄せられた
関節リウマチの専門医3氏の講演に真剣な表情で聞き入る人たち

Q&Aコーナー

Q 寒さはリウマチによくないと聞きます。その関連性を教えてください。
A データ的に低気温、高湿度はよくないとされていますが、寒さによる影響は高齢化が原因で起こる変形性関節炎の方が大きいと考えるべきでしょう。関節リウマチは暑さ、寒さに関係なく症状が現れるものです。

Q 母親が関節リウマチの治療を受けています。リウマチ体質は遺伝するのでしょうか。
A 遺伝の研究に関しては、一卵性双生児の調査があります。調査によると、一人が関節リウマチの場合、もう一人は約15%の確率で発症。関節リウマチの一般的な頻度は1%ですから、かなり高い確率で遺伝するといえます。二卵性となると4%です。こちらは遺伝のバックグラウンドは違いますが、環境が同じということで、普通の人より高めの確率になります。もちろん、すべて関節リウマチになるというわけではありませんが、気を付けるに越したことはないでしょう。

Q 10年ほど前から手指の関節の痛みが徐々に強まってきました。リハビリを考え、手指の曲げ伸ばしや引っ張りを試みていますが、その後で痛みが増したり、ピリピリしたりします。やめるべきでしょうか、続けるべきでしょうか。
A 関節リウマチは痛みだけでなく腫れを伴います。もし痛みだけならば、関節リウマチではないことも考えられますので、そのまま続けても構わないと思います。いずれにせよ、一度専門医の診断をきちんと受けてください。

Q 妊娠、出産に安心な治療方法、副作用がない薬とはどんなものでしょうか。
A 若い女性でも、関節リウマチの活動性があれば薬はきちんと使い、炎症をコントロールするのはとても重要です。それを前提に、妊娠を希望する場合は主治医とよく相談して、計画的に妊娠に持っていくことが大切です。胎児の成長に影響がある薬はいけませんので、それに応じた服用に変えなければなりません。通常の鎮痛剤や免疫調節剤は一切不可です。残るのはステロイドですが、ステロイドも大量に服用すると問題があるため、コントロールがうまくいって落ち着いたところで切り替えるようにしてください。

Q 関節リウマチの薬物療法は副作用が心配です。少々痛くても我慢してやめたいと思うのですが。
A 確かにその懸念は避けられません。20─50%の割合で副作用が出ます。ですが、やめるのは早計です。病気の本体に働き掛け、病気そのものを改善する抗リウマチ薬は昔と違い、現在は多種多彩です。必ず、合う薬はあるはずです。主治医の先生に探してもらってください。自分に合う薬を見つけるということは、関節リウマチの治療にとても重要なことです。

Q 約20年前にひざの人工関節を入れました。現在、再手術を勧められているのですが、体力、気力の面で不安です。再手術は可能ですか。
A ご本人がどの程度不自由さを感じておられ、また、「治したい」という気持ちがどれだけ強いかにかかっていると思います。人工関節がグラグラと緩み、座ったり立ち上がったりするだけで痛いということであれば、人工関節の入れ替えも検討しなければいけないでしょう。