肥後医育塾公開セミナー

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平成18年度 第3回公開セミナー「がん予防のために?女性のためのがん検診、がん予防」

司会・講師

【司会】
肥後医育振興会常任理事 熊本大学名誉教授
西 勝英

    【司会】
    肥後医育振興会常任理事 熊本大学名誉教授
    西 勝英

【座長】
熊本大学大学院医学薬学研究部婦人科学分野教授
片渕 秀隆

    【座長】
    熊本大学大学院医学薬学研究部婦人科学分野教授
    片渕 秀隆

【講師】
熊本大学医学部付属病院講師
田代 浩徳

演題:「生活環境と遺伝的素因からみた女性のがん」
    【講師】
    熊本大学医学部付属病院講師
    田代 浩徳

    演題:「生活環境と遺伝的素因からみた女性のがん」
【講師】
熊本大学大学院医学薬学研究部婦人科学分野教授
片渕 秀隆

演題:「熊本県女性の9割が子宮を守るチャンスを放棄しています」
    【講師】
    熊本大学大学院医学薬学研究部婦人科学分野教授
    片渕 秀隆

    演題:「熊本県女性の9割が子宮を守るチャンスを放棄しています」
【講師】
熊本大学大学院医学薬学研究部乳腺内分泌外科学分野教授
岩瀬 弘敬

演題:「増加する乳がん?診断から治療まで?」
    【講師】
    熊本大学大学院医学薬学研究部乳腺内分泌外科学分野教授
    岩瀬 弘敬

    演題:「増加する乳がん?診断から治療まで?」
【講師】
愛知県がんセンター研究所所長
田島 和雄

演題:「乳がん・子宮がん死亡の激減を目指して」
    【講師】
    愛知県がんセンター研究所所長
    田島 和雄

    演題:「乳がん・子宮がん死亡の激減を目指して」

セミナーの内容

 第30回肥後医育塾公開セミナーが2月17日、熊本市の熊本テルサで開かれ、約350人が参加した。
 肥後医育振興会理事で熊本大学名誉教授の西勝英氏が司会、熊本大学大学院医学薬学研究部婦人科学分野教授の片渕秀隆氏が座長を務めた。1981年に日本人の死亡率トップになったがん。セミナーでは「がん予防のために〜女性のためのがん検診、がん予防」をテーマに、がん全体に加え女性特有の乳がんと子宮がんの現状、治療法や予防について4氏が講演。来場者との質疑応答も行われた。

会場との質疑応答も行われた
真剣なまなざしで講演に聴き入る参加者たち

総合討論

Q 二年前、乳がんを切除。現在は三カ月ごとの定期検診で血液検査とレントゲンを撮っていますが、これで再発を早期発見できるのでしょうか。
A 通常、術後三年は三カ月ごと、三年から五年は半年ごと、五年以降は毎年一回の定期検診となっています。血液の腫瘍(しゅよう)マーカー検査では、数値の変動で再発が100%分かるわけではなく、あくまでも参考程度。また、乳がんが再発する部位は肺や胸、肝臓が多く、胸部レントゲンを撮ることでそれらの異常をチェックできます。再発の早期発見が再発予後にあまり影響ないということから、定期検診のたびにCTなどの精密な検査を行う必要はなく、それよりも自分で体調の変化に気をつけ、何か変わりがあれば主治医に相談する方が早期発見につながります。

Q 一年前に子宮頸部異形成軽度と診断され、年に三回から四回の検査を受けています。投薬および治療は一切なく、毎回、細胞診もしくは組織診を受けていますが、待つだけの状態に不安です。将来、子どもが欲しいので完治せずに妊娠した場合、症状悪化や子どもに影響が出ないか心配です。
A 子宮頸がんの前段階である異形成は軽度、中等度、高度の三つの段階に分かれます。軽度の場合は経過観察中に自然に良くなる場合が多いのですが、中には中等度に移行するものもあります。妊娠中は赤ちゃんを育てるために母体の免疫力が低下するので、ウイルスが活性化し病状が進む恐れもあります。異形成は外来で行う十から十五分程度のレーザー(蒸散)治療で六割から七割の方が治ります。検討してみてはいかがでしょうか。

Q 更年期障害などのホルモン補充療法の留意点は。
A ホルモン補充療法で乳がん発症のリスクは一・三倍ほど上がると言われています。しかし、つらい更年期障害の症状を和らげるので、この治療が必要な時もあります。この間は注意してがん検診を定期的に受けるようにしてください。また、エストロゲン単独のホルモン補充療法では、子宮体がんの発がんリスクも高まるので、子宮がある人は黄体ホルモンのプロゲステロンと併用した治療をお勧めしたいですね。