肥後医育塾公開セミナー

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平成29年度 特別版 熊本地震シンポジウム2017公開セミナー エコノミークラス症候群

【講師】
タレント
英太郎(えいたろう)

『講演C 災害時におけるローカル番組の役割とは』
何をどう伝えるかに苦心


   私は朝の「かたらんね」(テレビ熊本)や、夕方の「テレビタミン」(くまもと県民テレビ)などのテレビ番組に出演していますが、震災後は、番組で何をどう伝えたらいいのか、手探りの状況でした。テレビは見てもらわないと、情報を伝えられませんから、どうしたら見てもらえるか、いろいろ考えました。
 「かたらんね」は生活情報番組ですから、給水やお風呂、炊き出しの情報を3カ月間毎日、発信しました。カセットコンロでできる簡単料理も紹介しました。そして、エコノミークラス症候群の予防にと、熊本弁でラジオ体操をしました。「右さん、左さん、回して」と毎朝やっていたら、これが好評で、地震の後しばらくの間続けていました。
 一方で、そのころは多くの人がイライラしているようでした。番組への苦情も多かったです。ラジオ体操では、「ちゃんと体操しろ」と言われました。確かに、ちょっと手を抜いていました。でも私は、真剣に動くと、きつかとです。その後も生放送で番組を続けなければいけませんしね。
 その一方で、震災から3カ月ぐらいたつと、「笑いをください」という声が多く寄せられました。それで「かたらんね」は通常の番組に戻しました。それでも「ふざけるな」という苦情はありましたよ。だいたいこの髪型と体形がふざけているじゃないですか。(会場から笑い)いやいや、笑うとこじゃないですよ。
 あれから1年たって、地震を振り返るコーナーを放送しましたが、受け取り方は人それぞれですね。嫌なことを思い出す映像が出てきますから、まだ振り返りたくない人もいるのでしょう。また地震の時は、みんなが同じように大変だったのですが、1年たった今は、お金のことや自宅の再建の問題など、個人個人で状況が違うじゃないですか。今はそういうことを実感しています。
 それでも、あの地震から少しずつでも立ち上がって、もう一回頑張ろうという人たちにスポットを当てて、皆さんに番組を見てもらおうと思っています。これからも、楽しい情報をお伝えしていきます。