肥後医育塾公開セミナー

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平成22年度 第2回公開セミナー「呼吸器疾患の予防と治療 ぜんそく、肺がん、COPD(慢性閉塞性肺疾患)」

【座長・講師】
肥後医育振興会常任理事・熊本大学大学院生命科学研究部呼吸器病態学分野教授
興梠 博次

『喘息(ぜんそく)でも普通に生活できる治療法』
少量で有効性が高い吸入ステロイド薬


   ぜんそくは、気管支の粘膜に慢性の炎症が起きることで空気の通り道が狭まり、呼吸が苦しくなって発作を伴う病気です。
 主な症状には、@夜中などに発作性のせきが出て、胸やのどからゼイゼイ、ヒューヒューという音がするA運動後に強いせきが出て、ゼイゼイというB部屋の大掃除をしたり、布団をたたいたりした後、ほこりなどによるアレルギー症状が現れ、ゼイゼイといったり、せきが出たりする―などがあります。
 ぜんそくはポピュラーな疾患ですが、診断は結構難しいものです。以前、ぜんそくに似た症状が出た患者さんを調べてみたところ、ぜんそくではなく、気管支に腫瘍があったために起きたものでした。風邪薬や痛み止めを飲んだ後や、シップ薬などを貼った後に突然呼吸が苦しくなる「アスピリンぜんそく」という特殊なぜんそくもあります。そして慢性閉塞性肺疾患(COPD)とぜんそくの違いは、特に診断が難しいのですが、治療法はよく似ています。
 そこで、診断では症状に加え、肺機能検査の結果も参考にします。1秒間に吐き出す息の量などを調べ、治療の効果を確認するのです。ぜんそくのような症状が出たときは、がまんせず早めに医師の診察を受けてください。
 ぜんそくには、治療のガイドラインが作成されており、重症から軽症まで症状に応じた治療を行います。第1選択薬は吸入ステロイド薬です。「ステロイド」というと、副作用がつらいのでは、と敬遠される方もいらっしゃいますが、吸入ステロイドは気管支の局所だけに薬剤を取り込むため、少ない量で有効性が高く、全身に回らないため、うがいをすれば副作用はほとんどありません。そのほか症状に応じていろんな吸入薬がありますが、どれも有効性は高いものです。ただし、吸入剤の使用後は必ずうがいをしてください。
 いま日本では、世界のトップレベルのぜんそく治療を受けることができます。9割近くの患者さんが健常者とほぼ変わらない普段通りの生活ができるような時代になりました。ぜひ希望を持って治療を受けてもらいたいと思います。