肥後医育塾公開セミナー

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平成21年度 第2回公開セミナー「慢性腎臓病(CKD)と生活の質の向上」

【講師】
八代総合病院副院長
井上 武明

『〈講演1〉高血圧〜どこまで下げる?どうやって下げる?〜』
減塩徹底し薬剤併用も


   血圧が高いとなぜいけないのか―。それは、血管に障害を起こし、脳卒中や心筋梗塞など心血管病の引き金になってしまうからです。しかしほとんどの場合、自覚症状はなく、病院などで測って初めて気が付くことも多いのです。
 正常な値は、収縮期血圧(上)が130mmHg未満、拡張期血圧(下)が80mmHg未満ですが、上が130〜139mmHg、下が85〜89mmHgの状態を「正常高値血圧」と言います。高血圧ではありませんが、メタボリックシンドロームや糖尿病などをお持ちの場合は治療の対象となります。
 注意したいのは、“仮面高血圧"と言って、診察室では正常なために見過ごされている高血圧です。精神的、肉体的影響を受けにくい、家庭での血圧測定を重視し、尿タンパクが1日に1g以上出る方は、上を125mmHg未満、下を75mmHg未満に保つよう気を付けてください。
 血圧を下げるには生活習慣の改善が必須です。減塩、減量、運動、節酒、禁煙などの修正項目があり、中でも減塩が中心になります。
 塩分を過剰に摂取すると、腎臓から余分な塩分を排せつする必要から、血圧を上げる反応が起きてしまいます。塩分を控えることは腎臓病の治療に特に大切で、調味料には、香辛料などを上手に使う工夫を考えましょう。塩分摂取は1日当たり6g未満を目標にしてください。
 CKDにかかわる高血圧治療には、薬剤による降圧療法が一般的です。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)などの薬剤は、血圧を下げるばかりでなく腎保護作用があるため、広く用いられています。
 血圧のコントロールに、多くの優れた降圧薬が使えるようになりました。これら複数の薬を組み合わせる多剤併用療法も、腎機能障害を持つ方の血圧を下げる有効な手段として重要になっています。