まいらいふのページ

2008年 「まいらいふ」5月号

身長が高い・低い

病気の症状の場合もある高身長、低身長

 4月、5月には身体測定があり、身長が伸びたかどうかが気になります。身長が高いこと、低いことと、子どもの病気とはどのような関係があるのでしょうか。
 身長が高いことを心配して病院を受診する子どもさんはほとんどいません。しかし、身長が高いことに加えて思春期が早く始まっている場合は注意が必要です。例えば女の子で7歳半より前に乳房が大きくなり始めたとき、男の子で9歳より前に外陰部の発達が進んでいるときなどです。
 このような子どもたちの身長の伸びは、ほかの子どもより早く始まり早く終わってしまうため、最終的な身長が低めになることもあります。これらの早すぎる変化が表れたときには小児科医に相談してください。


身長が心配なときはグラフをつけてみましょう

 身長が低いことを心配して病院に来る子どもさん、つまり低身長による受診は少なくありません。低身長の80%以上は、体質性、家族性といった生まれつきの伸び方の違いのために、ほかの子どもよりも身長が伸びる時期が遅くなることによって起こります。このような場合は、最終的にほかの子どもの身長に追いつくこともあり、両親や兄姉にも成長の時期が遅かった人がいるものです。
 一方で、低身長には治療しなければならない病気が隠れているため、検査を勧めることがあります。急に身長の伸びが遅くなったときや、クラスで飛び抜けて小さいときなどです。成長ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモンの異常などによって起こる病気があり、初めは低身長以外に症状が出ないこともあります。
 6歳までであれば、母子手帳のグラフのページに身長を記入してみましょう。グラフに年齢ごとの身長を記入すると成長の様子が分かります。このグラフの標準の枠内からはずれて低い場合には詳しい検査や治療が必要なことがあるので、小児科医に相談してください。
 6歳以降の目安としては、8歳の誕生日の男の子114.7センチ、女の子113.8センチ、10歳の誕生日の男の子124.6センチ、女の子123.9センチが、標準枠の下線に相当します。


自分の身長を選ぶことはできません
熊本大学医学部附属病院
小児科
助教 中村公俊

 身長が低い子どものほとんどは病気ではありません。身長が伸びるのは一般にうれしいことですが、自分で自分の身長を選ぶことはできません。身長が高い、低いということは世の中に山ほど存在する多様な個体差の中の一つに過ぎないと思います。外来には病気ではない低身長の子どもさんも多く来られます。病気でない場合、治療によって身長を伸ばすことはできませんが、さまざまな個性の中で自分の良さを見いだしてくれるようにお話ししています。


Q&A
2カ月の男の子ですが、おへそが親指ぐらい出ています。1カ月検診で産科の先生に相談したところ、放っておいていいと言われました。最近さらにひどくなったようです。どうしたらいいでしょうか。
熊本大学大学院
医学薬学研究部 
小児科 
准教授 三渕浩

 通常の出べそ(臍(へそ)ヘルニア)は、産科の先生がおっしゃったように、放っておいても良くなることがほとんどです。しかし、中には腹直筋の開離が原因だったり、引っ込んだものの、跡にしわが残るということもあるようです。
 数年前、この相談欄で硬貨(5円玉など)で押さえたり、絆創膏(ばんそうこう)で留めることは、かぶれや炎症を起こすので良くないと書きました。硬貨は硬くて汚いので良くありませんが、絆創膏はかぶれないものが開発され、出べその治療における効果が見直されています。おなかの筋肉を寄せるようにして、かぶれない絆創膏で固定します。数週間で、出べそが引っ込んでいきます。
 ただし、治療の有効性やかぶれの発症にも個人差があり、また、ちょっとしたこつも必要ですので、かかりつけの小児科の先生に相談してください。