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2008年 「まいらいふ」4月号

集団生活と子どもの病気

最初の1年を乗り切る準備を

 桜咲く4月、保育園や幼稚園などに初めて登園するお子さんと保護者の方々は期待と不安でいっぱいのことと思います。これから始まる集団生活ではどのような病気に気をつけたらよいのでしょうか。
  集団生活をすると風邪のうつしあいが始まります。鼻水が出ていても元気があり熱がなければ「このくらいは大丈夫」と思って園に連れて行くように、ほかの子も鼻をたらしながら登園してきます。そのため、いろいろなウイルスに感染する機会が急に増えます。登園を始めてから最初の1年ぐらいは月に数回、熱を出すことも珍しくありません。その間を乗り切るための準備が大切です。


大切な予防接種とサポートづくり

 まず予防接種を早めに済ませましょう。水ぼうそう、おたふくかぜ、インフルエンザなどにかかると1週間程度お休みすることになります。これらは予防接種によって防いだり軽く済ませたりすることができます。また、BCG、三種混合、ポリオ、麻しん風しん混合ワクチンなども必ず受けておいてください。
 次に、風邪でお休みする時のサポートづくりが必要です。仕事を休んで子どもの世話ができる環境が望ましいのですが、簡単には休めない保護者は少なくありません。祖父母、兄弟や友人、育児サポートや病児保育など、お願いできるところが多いほどよいでしょう。ほとんどの子どもにとって、このようなサポートが必要になる期間はそれほど長くありません。しかし、自分たちには負担が大き過ぎると感じられる場合は、自治体の子育て支援の窓口などにあらかじめ相談しておくこともよいでしょう。


園との情報交換で早めの予防、診断を
熊本大学医学部附属病院
小児科
助教 中村公俊

 集団生活では「しらみ」や「みずいぼ」が流行することもあります。
集団生活でうつる「しらみ」はアタマジラミです。清潔にしていてももらってくることがあります。子どもが頭をボリボリかいていたら要注意です。白く小さな卵が髪の根元近くにくっついていないか調べてみてください。
薬局で購入できるしらみ駆除用のシャンプーを使って駆除できます。
 「みずいぼ」があると以前はプールに入れないこともありました。しかし、プールの水によって感染が広がるものではないので、最近ではプール禁止にはならないようです。肌と肌との接触により感染すると考えられています。自然治癒するので通常は治療しません。数が増えた、汁が出ているなどの場合にはかかりつけ医の診察を受けてください。
 そのほかにもヘルパンギーナ、手足口病、嘔吐(おうと)下痢症など、園で流行する病気は少なくありません。これらの感染症は園と情報交換することによって、早い診断や予防を行うことができるのです。


Q&A
子供が高熱を出し病院を受診した時、鼻水でインフルエンザの検査をしていただきました。すぐにインフルエンザと分かり、お薬をいただきました。ほかにもいろいろな感染症の迅速診断ができると聞きました。どんな病気が分かるのでしょうか?
熊本大学大学院
医学薬学研究部 
小児科 
准教授 三渕浩

 ここ数年で急速に普及してきている迅速診断検査法。インフルエンザが有名ですが、RSウイルス、アデノウイルス、溶連菌、ロタウイルスなどが一般的に可能です。最近は精度、感度とも上昇しています。鼻粘膜や咽頭(いんとう)のぬぐい液、便などを検体として、30分ぐらいで結果が出るので、その後の病状予測と治療法の選択に非常に有用です。
 インフルエンザは、発症後半日ぐらいたたないと、かかっていても検出できないことがあります。RSウイルス検査は入院の場合でないと保険上、認められていません。アデノウイルスは、ほかの検査に比べるとやや感度が低いようです。
 簡単に検査できるといっても、鼻咽頭をぬぐう時の刺激で鼻出血や嘔吐が出ることもあります。検査の特徴を十分理解している小児科医のもとで適切に検査を受けることが大切です。