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2008年 「まいらいふ」5月号

体調が優れない、と部屋から出てこない息子

今回のご相談 熊本市/Iさん 46歳

二男(末っ子)が希望の高校に無事合格、親子揃(そろ)って喜びの入学式を済ませました。ホッとしていたところ、ここ数日、体調が優れないと言って休んでいます。「病院に行こう」と言うと「大丈夫」と言って、部屋から出てきません。夫に言えば頭ごなしにしかるのではと心配で、話せずにいます。このまま様子を見ていていいものでしょうか。


まずは見守って。母親一人で解決しようとせずに、学校や家族と連携しましょう。
臨床心理士
植村照子
向陽台病院
リハビリテーション部長
熊本県スクールカウンセラー

 この時期は、進学してほっとするとともに、新たな競争社会に入り、自尊感情や劣等感などが入り混じる季節です。また、大きなエネルギーを持つ青年期の入り口である高校時代です。そのエネルギーをうまく処理できず外に向かうと、反抗や暴言、暴力に。内に向かうと、体調不良や無気力につながることがあります。ご相談の息子さんは、後者のようですね。何が原因かは分かりませんが、つらいことが言葉にできずに体に出ているのです。  問いただすことは控えましょう。あれこれ聞くと、余計にその原因が本人の中で強調されかねません。また、お母さんが不安がっていると、お子さんはもっと不安になってしまいます。「このまま学校に行けず、不登校になってしまうのではないか」という不安は、子ども自身が強く感じています。  しばらく休んだら乗り越えられるかもしれません。普通に接しながら、心身の状況を含めて見守りましょう。それで改善されない時には、学校の養護や担任の先生に相談し、次のステップを探しましょう。母親が一人で気負って解決しようとせず、肩の力を抜くことも大切です。  一方で、不登校は、家族のありようを見直すチャンスだとも言われています。夫婦がどのように協働するか、親も話し合いを持てるといいですね。家族や学校など、連携して乗り越えていきましょう。