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2008年 「まいらいふ」4月号

携帯電話をしつこくせがむ中3の娘

今回のご相談 熊本市/M 42歳

この春から中3になる娘。付き合っている一つ年上の彼は自宅に電話するのは嫌だと言って、これまでは会う時間や場所を学校で伝え合っていたようです。しかし彼が高校に進学し、それができなくなるので、携帯電話を買ってほしいと繰り返しています。私は以前から高校に入るまでは持たせないと言ってきましたが、あまりにしつこく、どうすればいいのか悩んでいます。


話し合うことで歩み寄り、折り合いをつける。子どもが大事だからこそ、戦っていいんです。
臨床心理士 植村照子
向陽台病院
リハビリテーション部長
熊本県スクールカウンセラー

 親は子どものことを心配して、本人の望まないことを言ったり、したりします。それが子どもにとってはイヤなんですが、「子どもに嫌われたくないから」と、子どもにとって厳しいことを言わない方がむしろ問題です。「あなたのことを真剣に大事に思うからこそ、携帯を買い与えることをためらっている」ということを伝え、なぜ親がためらっているのか想像させてみましょう。  子どもは「私は大丈夫」と思っています。しかし彼との連絡用のつもりが、携帯からもたらされるほかの多くの情報をまだ整理できず、何かに巻き込まれる危険性があることなど、この機会に十分話し合ってはいかがでしょう。  また、「オープンに連絡しない子はダメだ」などと彼のことを頭ごなしに言ったり、秘密をすべて聞きだそうとしないことも大切。思春期の子どもにとって、親に秘密を持つことも成長の過程で大事なことです。一方子どもには、親と話し合った上での約束は守ることを求めましょう。どちらも歩み寄り、折り合いをつける。たとえば自宅の固定電話に時間を決めてかけ合う、約束が守れたら親の携帯を時間を決めて使わせる…など、ほかの方法を探してはどうでしょう。  子どもが大事だからこそ、子どもと戦っていいんです。そうして「責任を持てる子に成長したな」という信頼感を得ることができて、1年後に晴れて持たせられれば一番ですね。