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2008年 「まいらいふ」12月号

気力を失っているように見える息子に、何を言っていいか分かりません

今回のご相談 44歳 母

 受験を控えた高3の次男が、「何をしたいか分からないから、大学受験はしたくない」と言い出し、戸惑っています。不器用だけど真面目な次男。これまでは、私たちの言うことに素直に耳を傾けてくれていたのですが、今回は、大学進学の大切さをいくら伝えても聞き入れません。気力を失っているように見える息子を前に、私もこれ以上何を言っていいか分かりません。夫には「どうにかしろ」と言われるし、どうしたらいいのでしょうか。


「自分が何をしたいのか」自分の人生を主体的に考え始めた成長を、まず受け止めて
臨床心理士
植村孝子
はっとり心療クリニック
熊本電波高専非常勤カウンセラー
熊本県立大学非常勤カウンセラー

 世の中が変化し、「親が考える幸福が決してベストではない」と頭では分かっていても、そう言われると、親としては不安になりますよね。  しかし、「みんなが行くから」や「まだ働きたくない」などの理由で、何となく進学する若者もいる中、「自分は何をしたいのか」と自問している息子さんは、純粋な若者だと思います。それだけ自分の人生と真面目に向き合い、「悩む力」を発揮しながら成長されている、ということではないでしょうか。  お母さんはすでに、大学進学の大切さを伝えていらっしゃいます。次は息子さんの考えを聞くことです。その際気をつけたいのは、決してせっつかないこと。「自分の人生を意識し始めたのだから、悩んで当たり前」「考えることに意味がある。人生にはそういう時期があってもいい」と受け止め、じっくり話を聞きましょう。  また、「気力を失っているように見える」とのことですが、自分と社会の関係に強い不安を覚えたり、あまり自分を追い詰め過ぎて、生活に支障が出るようなことはないか、気を付けてあげてください。うつ傾向にあるようであれば、専門医に相談することも選択肢の一つです。  子育ての目標は「自分の人生を生きられる人間にすること」。親の「思い通りにすること」ではありません。何が息子さんの個性を生かす道か、お父さんも交えて話し合いましょう。お母さん一人が悩まないことも大事ですよ。