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医療解説

成長ホルモン分泌不全による低身長

熊本大学医学部附属病院小児科 中村俊郎

 最近は低身長を主訴に来院する患者さんも増えましたが、熊本では「親も小さいから」とか「中学生になったら伸びるから」といって放置されるケースも多いようです。低身長にも程度がありますが、私達小児内分泌科医が対象とするのは、平均身長から標準偏差(SD)の2倍以上低い(-2SD以下)ケースです。これは、おおよそ100人中低い方から2?3番以内に当たります。この程度になるとホルモン異常の患者さんが含まれる可能性が出てきます。低身長の患者さんに対しては、まず一般検査と同時に、成長因子、甲状腺ホルモン、および性ホルモンを測定します。また骨年令(手のレントゲン写真で判断)を調べ、体の成熟度や予想身長を推測します。もしもホルモン異常の疑いが深まれば、負荷テスト等の精密検査を行います。その結果成長ホルモン分泌不全などの診断が確定すれば、ホルモン補充療法を開始します。成長ホルモンは、数回/週ないし毎日、自宅で家族が注射します。「何才から治療を始めるの」という質問を受けますが、身長に関しては遅くならないほうが良いと思います。私の患者さんの場合、なるべく4-5才で開始する事にしています。ただし、症例によっては成長ホルモン以外のホルモンも不足していることがあり、この場合は早急に治療を開始すべきです。低血糖など生命を脅かすような症状を併発することがあるからです。人間は骨端線が閉じる時期まで身長は伸びますが、思春期が進行しそれが閉鎖してしまうともう伸びません。思春期終盤になって「数年前から全く身長が伸びなくなった」といって来院する中高学年生もいますが、この段階で来られても小児内分泌医としてはお手上げです。成長ホルモン欠損は比較的有名な病気ですが、頻度は低身長患者の1-2割程度です。しかし早期に発見できれば治療可能な疾患でもあります。お子様が低身長である場合は、遅くならないうちに熊本市民病院(096-365-1711)小児科の内分泌外来受診をお勧めします。