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医療解説

子どものウイルス性胃腸炎

熊本大学医学部附属病院小児科 仲里 仁史

 ウイルス性胃腸炎はインフルエンザとともに冬季の代表的な病気です。『冬季嘔吐下痢症』、『乳児嘔吐下痢症』などとも呼ばれています。主な原因ウイルスはノロウイルスとロタウイルスです。ノロウイルスは以前、小型球形ウイルス(SRSV)と呼ばれていましたが、2002年正式にノロウイルスと命名され最近注目されています。ノロウイルスは12月〜1月頃、ロタウイルスは2月〜4月頃流行します。なお、ノロウイルスはカキなど二枚貝の生食で冬季の集団食中毒の原因にもなりますので注意が必要です。

<症状>
 主な症状は、水様性下痢、嘔吐、発熱で、潜伏期間は半日〜2日程度です。ノロウイルスでは嘔吐が多く、ロタウイルスでは下痢(白色〜黄白色)を中心に嘔吐、発熱など複数症状を示すものが多いです。嘔吐や下痢が続くと脱水が心配になります。脱水症状とは、顔が青白い、体がひんやり、元気がない、眠りがち、尿が少ないなどです。ロタウイルス感染症では、まれに痙攣などの神経合併症がみられることがあり注意が必要です。ノロウイルス感染症はだいたい2〜3日、ロタウイルス感染症は5日程度で軽快することが多いようです。

<治療>
 対症療法が主体となります。脱水症状がある場合、電解質を含む経口補水液が効果的で、重症化の予防になります。最近は風味のよい乳児用イオン飲料が数多く開発され、市販されています。すぐに購入できなければ、湯冷まし1リットルに、砂糖大さじ4.5杯と食塩小さじ0.5杯を溶かしたものに、レモンなどの果汁を加えます。飲みやすくカリウムの補給にもなり、代用することができます。
 軽度の脱水には補水液をスプーン1〜2杯の少量から開始し、嘔吐しないことを確認しながら20〜30分毎に徐々に増量していきます。根気よく与えていくことが大切です。中等度以上の脱水や経口水分摂取ができない頻回の嘔吐には、点滴の必要性も考えられますので小児科の診療所や病院を受診しましょう。食事が摂れるようになれば、うどんやお粥、好めばリンゴやバナナなどの果実も与えて結構です。

<注意点>
 嘔吐物や便の処理後は石けんを使って手洗いを十分行ない、家族内感染を防ぎましましょう。二枚貝(カキなど)は、生食を避け、加熱処理して食べましょう。