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医療解説

食べ物の好き嫌い

熊本大学医学部附属病院小児科 中村 公俊

<こどもの味覚は発達の途中>
こどもの頃に嫌いだった食べ物がいつの間にか好きになっていることは珍しくありません。母乳やミルクから始まるこどもの食事は、離乳食、家庭の食事や給食など、年齢によって量と内容が次第に変化します。こどもが好きな味付けも成長に添って少しずつ変わります。酢の物やわさびはほとんどのこどもが苦手ですが、甘いものや薄味の味噌汁などは、初めからよく食べることが多いようです。味覚には甘味、うま味、塩味、酸味や苦味があります。その中でこどもの好きな味は、甘味、うま味、塩味といわれています。これは母乳やミルクの味と共通しています。一方で、酸味や苦味はにがてな子供が多く、これらの味覚は体験することによって発達していきます。

<食べたことのないものは嫌い>
好き嫌いの問題点は、?栄養のかたよりが生じる、?カロリーや塩分などのとりすぎが起こる、?食文化を楽しむことができない、などにあります。栄養から考えると、たとえばピーマンが嫌いでも他の野菜を食べることができれば、ビタミンと食物せんいの摂取は十分であり全く問題ありません。しかし全ての野菜をほとんど食べない場合には栄養のかたよりが心配になります。好き嫌いはなぜ起こるのでしょう。こどもは初めての食べ物に対しては「嫌い」と判断することが多く、これは2歳から5歳ごろに出現する正常な発達の一過程です。この時期の好き嫌いはずっと続くものではないので、初めて食べさせるものは無理強いせず、味見程度の体験を繰り返すことで食べられるものが増えていきます。一方で、にがてな食べ物を全く避けてしまうと、いつまで経っても多様な味覚の体験ができずに嫌いな食べ物が増えていくようです。嫌いなものは親が先回りして作らなくなることがあります。親の好き嫌いをなくし、同じ食材でも違う調理法を試してみるのもひとつの方法です。いろいろな味覚の体験には薄味が適しているともいわれています。

<好き嫌いをなくすポイント>
・好き嫌いは正常な発達の一段階なので、初めての味は少しずつ体験させましょう。
・嫌いな食べ物は一口だけ食べさせることを根気強く繰り返しましょう。
・食材や味付けの他、盛り付けや楽しい食事の雰囲気づくりも大切です。