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医療解説

癒着性腸閉塞(イレウス)

宇賀岳病院外科 江上 寛

癒着性イレウスとは
腸閉塞(イレウス)とは、様々な原因によって食べたものが腸管に詰まって出て行かない状態を言います(図1)。開腹手術を受けると、ほとんどの方で、腸管がお腹の内側の腹壁に、あるいは腸管同士で癒着します。これ自体は生体の正常な反応です。しかし、癒着の仕方や程度によって、腸管が捻れたり、引っ張られたりすると腸管に狭い場所ができます(図2、3)。この狭い場所につかえて、食べものが通りにくくなります。これが癒着性イレウスです。

癒着性イレウスの症状
通常人間の体では、唾液、胃液、膵液、胆汁、腸液などの消化液が毎日7?8リットル分泌され、その大半が大腸で再吸収されます。腸閉塞の状態になると、食べ物と一緒にこの消化液が腸の中に貯留します。このため吐き気や嘔吐、腹部膨満、生汗などの症状が出現します。また、腸の中に多量の水分がたまりますので、体は逆に脱水症状となり、血圧の低下や血液の濃縮が起こり、ショックへの準備状態になってしまいます。しかし、一旦イレウス状態が解除されると、多量の不消化物が大腸へ流れ込みますので、今度は下痢になります。

癒着性イレウスの治療
まず手術をしないで保存的に治療するのが一般的です。これは、手術をすることによって新たな癒着を引き起こし、またイレウスが起こってしまうという悪循環に陥る可能性があるからです。
 症状が出たら絶飲絶食して閉塞状態の改善を待ちます。同時に、点滴による水分の補給を行います。1?2日待っても排便、排ガスがないようなときは、胃管やイレウス管というチューブを使い腸にたまった内容物を体の外へ出して減圧します。拡張した腸管が減圧されて縮むと、ほとんどの場合イレウスは解除されます。保存的に治療しても治らない場合、イレウス症状を繰り返す場合、あるいは腸管の血流障害が合併して腸管が壊死に陥ったり、陥る危険性が高い場合は手術が必要になります。

食事上の注意点
腸管に狭い部分が存在します。このため、ごぼう、たけのこ、昆布をはじめとする海藻類、繊維の多い物は詰まりやすいので控えた方が良いでしょう。いも類、果物、砂糖などの多量の摂取はガスを発生しやすく、また、いかや貝類など消化の悪いものも詰まる原因になりますので注意が必要です。

(図1)腸閉塞(イレウス)
(図2)癒着性腸閉塞(イレウス)