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医療解説

慢性疲労症候群

済生会熊本病院総合診療科医師 早野恵子

 「慢性疲労症候群」は近年になり確立された病気で、持続する疲労に加えて集中力・記憶力の障害、のどの痛み(咽頭痛)、リンパ節のはれや痛み(首や脇の下)、筋肉痛、頭痛、関節痛などの症状が6ヶ月以上にわたって続き、仕事や日常生活の活動性が低下する病気です。女性は男性の約2倍、25-45歳くらいの患者さんが多く、しばしば感染症の後に発症しますが、原因はまだよくわかっていません。
 一般的に、この病気は、それまで活発だった人に突然起こり、インフルエンザ様の症状または急性のストレスに引き続いて、耐えがたいほどの疲労や消耗を感じて受診されます。検査や画像診断では決め手となる所見がないので、医療面接(問診)や身体診察によって得られた所見と、最後に付記している診断基準を参考にして、他の病気を除外することにより診断します。
 慢性的な疲労そのものは、病院を受診する患者さんの20%に認められるごく一般的な症状ですが、「慢性疲労症候群」の診断基準に一致するものはまれです。他の病気を除外するためには、詳しい診察や適切な検査をすることが必要です。明らかな異常所見があれば、「慢性疲労症候群」ではない可能性が高いといえましょう。
 「慢性疲労症候群」の診断をするにあたって、除外すべき疾患(これらの病気ではないことをはっきりさせておかなければもの)には、次のようなものがあります。
?内科の病気としては、自己免疫疾患(関節リウマチ、線維筋痛症などの膠原病)、内分泌疾患(甲状腺疾患、糖尿病、副腎機能不全)、神経筋疾患(重症筋無力症など)、慢性の感染症や感染後の状態(ウィルス性疾患、結核)、薬剤の副作用などです。
?見逃してはならない病気は、悪性腫瘍や感染性心内膜炎などです。
?精神的要因には、うつ状態やうつ病、不安障害、身体表現性障害などです。
 診断が確定されない間は不安を感じると思いますが、疲労感が強いときには周囲の人々にも説明して職場や家族の理解と支援を得るようにしましょう。
 疲労感に伴って当初に書いた他の症状が出ているかどうかや、食欲・睡眠・体重の変化・便通(女性なら生理も)などの一般的症状を自分でしっかり把握し、疲労感が改善しないときは、かかりつけ医や一般内科を受診して、「慢性疲労性症候群」の可能性を含めて、診察や経過観察をしてもらうことをおすすめします。

参考図書
ハリソン内科学(原著第16版)第2版、日本語版監修:福井次矢、黒川清、メディカル・サイエンス・インターナショナル、2006

慢性疲労症候群のCDC診断基準(CDC1994年)
1.臨床的に評価される、説明しがたい、持続的または繰り返す疲労のうち、新たに発症したものであるか、発症時期がはっきりしたものであり、進行中の労作によるものではなく、安静によって軽減されず、発症前に比べて、職業上、学業上、社会生活上、私生活上の活動レベルを大幅に低下させるもの。
2.下記の症候のうち4つ以上が、6ヶ月以上にわたって持続するか繰り返しており、疲労に先行していない。
?短期記憶や集中力の障害(自己申告) 
?咽頭痛            
?頸部または腋窩のリンパ節の圧痛
?筋肉痛
?発赤や腫脹のない多関節痛
?新しい型または程度の頭痛
?熟眠感のない睡眠
?労作後24時間以上続く倦怠感