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「あれんじ」 2017年4月1日号

【四季の風】
第37回 お玉杓子(たまじゃくし)

 子供の頃はお玉杓子はかわいいものだと思っていたが、実はそうでもない。

友を食(は)む おたまじゃくしの 腮(あぎと)かな     島村 元

 腮とは、「あご」や「えら」のこと。つまり共食(ともぐい)もするらしいし、何よりゼリーの紐状の「蝌蚪(かと)の紐」も気持ちの良いものではない。
 しかし俳句では、この蛙の子つまり蝌蚪(かえるご)のことを「蝌蚪」と呼んで、よく詠んできた。俳人は、こんな少し不思議な世界に創作意欲を刺激されるらしい。以下、私の好きな三大作品。

天日のうつりて暗し蝌蚪の水      高浜虚子
川底に蝌蚪の大国ありにけり      村上鬼城
蝌蚪乱れ一大交響楽おこる       野見山朱鳥

 私も時々、この蝌蚪に挑戦してきた。

水よりも無心にありぬ蝌蚪の紐     岩岡中正

 昨年の熊本地震。でもそれにもめげず、お玉杓子たちは元気に育った。つくづく、いのちとは頼もしいものだ。

地震(ない)続き蝌蚪に手が生え足が生え   山下しげ人