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「あれんじ」 2017年1月14日号

【元気!の処方箋】
知っておきたい子どもの救急 〜予防と冷静な対応を〜

 子ども、特に自分で症状を説明できない乳幼児の体調の変化に、親や周りはどう対応すればいいのでしょうか。

 今回は、小児救急に関する情報や気を付けたいこと、受診数が多い症状についてお伝えします。

【はじめに】

 子どもの救急と聞くと、「救急車に乗って運ばれてくる命にかかわる病気の子ども」というイメージがあるかもしれません。しかし、重症以上の小児(0歳から18歳未満)の割合は、救急搬送全体の0・2%にすぎません。人口100万人あたりにしても94件であり、これは成人の40分の1以下の発生件数です。

 また、救急車で運ばれてきて入院が必要になった小児の割合は26%と報告されています。成人の約50%と比較すると、子どもでは比較的軽症でも救急車が利用されている場合が多いことが分かります。


医師や看護師に相談できる#8000(小児救急電話相談窓口)

【休日・夜間、判断に迷ったら】

 子ども、特に自分自身で症状を伝えることのできない乳幼児が急に具合が悪くなったり、けがをした場合、親は不安になり「すぐに病院に連れて行かねば」という思いに駆られます。

 そんな時に、少し冷静になってどう対応すべきなのかを考える余裕と、相談できる相手があるとよいですね。そこで考案されたのが、#8000(小児救急電話相談窓口)です。

 #8000は、子育て中の保護者が休日・夜間の急な子どもの病気にどう対応したらよいのか、病院で診察を受けたほうがよいのかなど、判断に迷ったときに、小児科医師や看護師に電話相談ができるシステムです。

【相談時間が翌朝8時までに】

 覚えやすい決まった電話番号を周知することで、気軽に電話することを促しています。平成16年から国の補助事業として全国展開されており、熊本県でも平成17年からこの事業を開始しています。

 これまでは、毎日午後7時から午前0時までの電話相談を受け付けて、熊本県では年間1万件以上の相談が寄せられてきました。平成28年8月1日からは、平日の午後7時から翌朝8時まで、土曜の午後3時から翌朝8時まで、日曜・祝日の午前8時から翌朝8時までとなりました。その結果、通常の診療時間外のすべての時間帯で電話相談ができるようになっています。

 #8000の電話相談を利用することで、家庭でできること、病院を受診しなければならない目安などをアドバイスしてもらえ、不安を減らして、必要な時に救急の時間外診療を受ける、または家で様子を見ることを判断できます。


日本小児科学会監修のWebサイトも参考に

 すぐに電話相談ができないときには、日本小児科学会が監修しているWebサイト「ONLINE QQこどもの救急」を検索してみてください。心配な症状についての解説が掲載されています。

 現在の症状を入力すると、受診すべきなのか、様子を見てもよいのか判断する仕組みもあるので参考にするとよいでしょう。


【サイトの使い方】


救急外来で多い訴え

 子どもの救急外来で診察する病気はたくさんありますが、その中で比較的数が多い発熱、腹痛、けいれんについて解説します。

【発熱】

 時間外診療の中で最も多い症状の一つです。ほとんどがウイルス感染であり、救急外来を受診してもしなくても、治るまでの期間には差がないと考えられています。

 しかしその中に、急いで治療が必要な病気が隠れている場合もあり、注意が必要です。

 発熱とともに次のような症状がみられるときは、救急外来に来ていただいた方が安心です。顔色や皮膚の色が悪い、呼びかけても返事をしない、のどぼとけの下あたりがへこむような呼吸をしている、寝たままでは呼吸が苦しく座って呼吸している、などの場合です。急いで病院を受診した方がいい症状と考えられます。

 心配なときは、#8000やこどもの救急のホームページなどを利用することもお勧めします。

【腹痛】

 ウイルス性の胃腸炎や便秘などが原因となって痛みを訴えていることが多いです。しかし、急いで治療が必要な病気も少なくありません。

 腹部をさわるだけで痛がる、腹部がパンパンに膨れている、便の外側だけでなく、「中」に血が混じっている、などがみられるときには救急外来に来ていただくのがよいでしょう。

【けいれん】

 救急車で搬送されてくる小児で最も多くみられる症状の一つです。ほとんどは熱性けいれんと呼ばれるもので、数分以内に止まります。けいれんが止まった後しばらく意識を失ってしまうことが多いです。繰り返すこともありますが、熱が下がれば後遺症もなく元気になります。

 5分以上様子を見ても止まらないけいれんは、急いで治療が必要な病気の症状である可能性があるので、すぐに救急車を呼んだ方がよいでしょう。


【メモ】こんな時は急いで病院へ!


予防の徹底で減らせる子どもの救急外来受診

 熊本地震後、多くの病院の小児科で入院する子どもたちの数が増えています。そのため、希望する入院施設以外で治療を受けなければならないことが起きています。

 多くの子どもの病気に当てはまることですが、予防に気を付けることで重い病気にかかる危険性を減らすことができます。

 うがいと手洗いは感染症に対する予防効果が高いことが分かっています。大人になってからも必要なので、ぜひ子どもの時から習慣にしてください。

 また、定期の予防接種はもちろん、インフルエンザ、ロタウイルスなどの任意の予防接種も受けておくと感染する可能性を減らし、重症化を防ぐことができます。早めにかかりつけ医を受診して相談しておくことも大切です。

 予防の徹底により、子どもの入院や救急外来への受診を減らすことができます。そうすることで、より重症の子どもたちをきちんと治療する環境づくりができると考えています。


執筆いただいたのは
熊本大学医学部附属病院
小児科
中村公俊 准教授

日本小児科学会専門医・指導医
臨床遺伝専門医・指導医