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「あれんじ」 2016年7月2日号

【元気!の処方箋】
メタボリックシンドロームの一疾患!? 尿路結石を知って、予防を!

 激しい痛みが襲うという「尿路結石」。命にかかわることは少ないとしても、できれば生涯ならずに過ごしたいものです。そこで今回は「尿路結石」の症状や治療、なぜなるのか、防ぐにはどうすればいいのかなどをお伝えします。

はじめに

 腎臓でつくられた尿は、尿管という細い管状の臓器を通り、袋状の臓器ぼうこうにいったん貯められ、尿道から排出されます。この尿の通り道を「尿路」といい、ここにできた結石を尿路結石といいます(胆石とは全く別の病気です)。

 尿路結石は上部のもの【腎臓結石、尿管結石】と下部のもの【ぼうこう結石、尿道結石】に分けられ、上部のものが全体の大半(約96%)を占めます。男女比は5:2で男性に多い病気です。


尿路結石って何?
尿の流れが止められ、腎臓に尿が溜まって激しい痛みが現れる

 尿は、水分と体に不要な物質を含んでいます。その中の「シュウ酸」「カルシウム」「尿酸」などの物質の濃度が高くなると溶けきれずに結晶となり、これが塊となって尿路結石となります。

 尿路結石の成分で最も多いのが「シュウ酸」と「カルシウム」がくっついてできた「シュウ酸カルシウム」です。「尿酸」は単独で結石となります。

 尿路結石は主に腎臓内でつくられます。腎臓結石の時にはあまり症状はありませんが、結石が腎臓から尿管に移動して尿管結石になった途端、尿の流れはせき止められ、腎臓が風船
のように腫れることで、背中から脇腹にかけて激しい痛みが出現するのが特徴です。

◎症状と診断

 激しい痛みの他に血尿、吐き気・嘔吐(おうと)、冷や汗、顔面蒼白(そうはく)などがみられます。

 診断はまず検尿(血尿はないか)、腹部X線検査(結石が写っているか)、超音波検査(結石や水腎症はないか)を行います。しかしX線写真に写らない結石もあり、現在、診断能力の最
も高い検査はCT検査です。CT検査で100%近く診断できます。

◎治療

 直径が10o以下の結石は自然に出る可能性がありますので、痛みのコントロールをしながら経過をみます。10o以上、またはなかなか出ない結石に対しては積極的な治療が必要です。

 最も多く行われているのは、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)です。体外で発生させた衝撃波を腎臓や尿管の結石に伝えて結石を砂状に破砕する治療法です。体への負担が少ない治療法のため、広く受け入れられています。 

 次に多い治療法として経尿道的尿路結石破砕術(TUL)があります。尿管鏡という内視鏡を尿道とぼうこうを経由して挿入し、それで直接結石を見ながらレーザーなどで結石を破砕します。ESWLをしのぐ治療効果がありますが、麻酔や短期の入院を要します。利点と欠点を患者さんに十分説明して治療を選択します。


なぜなるの?

 尿路結石の患者数はこの40年間で約3倍に増加しています。男性の7人に1人(女性の15人に1人)が一生に一度はかかる病気になりました。再発率も高く、予防しないと5年以内に5割の人が再発します。

 近年急激に増加した原因として、診断技術の向上により見つかりやすくなったことや人口の高齢化などありますが、最も重要と考えられているのが、食生活や生活様式の欧米化です。

 実は、尿路結石は「メタボリックシンドローム」の一疾患としてとらえることもできるのです。メタボリックシンドロームは、「肥満」に加え「糖尿病」「高血圧」「高脂血症」のうち2つ以上を合併し、動脈硬化によって起こる病気(心筋梗塞、脳梗塞など)を起こしやすい状態をいいます。

 たくさんの疫学研究から、この状態の人たちがまさに尿路結石の発症をしやすい人たちであることが明らかとなってきました。


予防するには?

 メタボリックシンドロームと尿路結石の予防法はほぼ共通しています。運動やバランスのとれた食事により肥満の解消を行うことで、尿路結石の発症の危険性は低くなります。

 ただし、一度尿路結石になった人が再発しないためには、より厳密な予防を心がけねばなりません。尿路結石の原因物質であるシュウ酸、カルシウム、尿酸にも着目し、具体的な方法について述べたいと思います。

1.水分をしっかり取りましょう

 尿量が増えることで尿中の原因物質が薄まって、結石ができにくくなります。再発しないためには1日の尿量が2000㎖以上になるよう、食事以外に2000㎖以上の飲水が必要となります。

 水、麦茶、ほうじ茶などが適しており、糖分の多い清涼飲料水(コーラ、ジュース、スポーツドリンクなど)やアルコール類の取り過ぎに注意しましょう。


予防するには?

2.「シュウ酸」を多く含む食品に注意しましょう

 シュウ酸は、ホウレン草、タケノコ、紅茶、コーヒー、お茶(玉露・抹茶)、バナナ、チョコレート、ナッツ類などに多く含まれています。取り過ぎに注意しましょう。

 ホウレン草やタケノコは、ゆでる・水にさらすなどでシュウ酸を半分ほどに減らすことができます。また、カルシウムを含む食品と一緒に食べると、シュウ酸は腸内でカルシウムと結合し便として出るので、体内への吸収は減ります。 

 ホウレン草のおひたしに削り節やちりめんじゃこを加えたり、紅茶やコーヒーはミルクティーやカフェオレに、バナナはヨーグルトあえに、と工夫して取ることをお勧めします。


予防するには?

3.「プリン体」を多く含む食品に注意しましょう

 尿酸は食品の中の「プリン体」という分子が体の中で代謝されてできるものです。そのため、以前に尿酸結石(結石の成分が尿酸のもの)になったり、血液検査で尿酸の値が高いと言われたことがある人は、プリン体を多く含む食品をなるべく控えましょう。

 プリン体が多い食品は、肉類(レバーなど)、魚介類(カツオ、大正エビ、オキアミなど)、干物、白子やあんこうの肝などです。また、ビールにも多く含まれるので、過剰摂取には気をつけましょう。


予防するには?

4.「カルシウム」を積極的に取りましょう

 カルシウムも尿路結石の原因物質のため制限すべきと思われがちですが、実際には一定量取った方が結石ができにくいことが分かっています。  前述のようにカルシウムは腸内でシュウ酸と結合し、シュウ酸が体内に吸収されるのを防ぎます。その結果、尿中のシュウ酸の濃度が低くなるためです。

 近年の国民健康・栄養調査の結果を見ても、日本人のカルシウム摂取量は目標量に達していません。カルシウムを多く含む牛乳・乳製品(チーズ・ヨーグルトなど)、小魚類、大豆製品、海草類などを積極的に取りましょう。


予防するには?

5.塩分は控えめに、脂肪分の取り過ぎに注意しましょう

 塩分を取り過ぎると、尿中のカルシウムが増加して結石ができやすくなります。高血圧の原因にもなりますので、漬け物・佃煮類、インスタント食品、塩辛いものは、なるべく控え、日頃から薄味に慣れましょう。

 また、油っこい料理(揚げ物、炒め物など)や肉の脂身の取り過ぎ、マヨネーズやドレッシングなどの使い過ぎにも気をつけ、肥満にならないよう注意が必要です。


おわりに

 規則正しい食生活、バランスのとれた食事、適度な運動を心がけ、生活習慣病そして尿路結石を予防しましょう。


執筆いただいたのは
熊本市民病院
泌尿器科
桑原 朋広 部長

・日本泌尿器科学会専門医・指導医
・日本内視鏡外科学会技術認定医
・泌尿器腹腔鏡技術認定医
・がん治療認定医
・日本性機能学会専門医
・熊本大学医学部臨床教授