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「あれんじ」 2013年9月7日号

【ママの心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
子どもの肥満と生活習慣病

 欧米をはじめ世界中で子どもの肥満が増えているといわれています。今回は、子どもの肥満と生活習慣病についてお伝えします。

子どもの肥満の問題点

 肥満の子どもは、約30年間で男女とも2〜3倍に増えました。
 肥満そのものは病気ではありませんが、糖尿病や脂質異常症などを同時に起こしてメタボリックシンドロームへと進む危険性が指摘されています。生活習慣が形成される子どもの時期にその予防に取り組む必要があるといわれています。


判断基準と診察・検査の必要性

 肥満は、肥満度を計算して判断します。肥満度は(測定体重−標準体重)÷標準体重×100(%)で計算します。
 母子手帳には肥満度のグラフがついていて、身長と体重から肥満度が分かります。標準体重と肥満度についてはインターネットで検索して計算することもできます。肥満度が20%以上であれば一度は診察を、30%以上では肥満症の検査を受けることが必要です。
 腹囲は小児メタボリックシンドロームを診断するときの基準の一つです。へその高さで腹囲を測り、80pを超えている場合や身長の1/2を越えている場合には、肥満が進んでいる心配があります。


予防と対策

 子どもは身長が伸びているため、減量の必要があることは少なく、極端な食事制限もよくありません。食物繊維とタンパク質を十分に取り、炭水化物と脂肪を減らす。糖分の入った飲み物を避け、よくかんで食べる、などが大切です。
 運動が苦手な子どもは、普段の生活の中に運動を取り入れることで効果を上げることができます。手伝いをする、一緒に買い物に行く、休日は必ず外で体を動かす、などです。
 熊本市では肥満度20%以上の小学4年生を対象にした小児生活習慣病予防検診が行われています。


熊本大学医学部附属病院
小児科
講師 中村公俊

 肥満の予防や対策は、子どもだけが頑張るのではなく、家族が協力して食事や運動などの生活習慣を変えることが大事です