すぱいすのページ

トップページすぱいすのページ「あれんじ」 2012年6月2日号 > 【第二十二回】『お陰さま』の心

「あれんじ」 2012年6月2日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第二十二回】『お陰さま』の心

女性医療従事者によるリレーエッセー 【第二十二回】

【第二十二回】『お陰さま』の心
矢部広域病院 
医師
坂本 香寿(かすみ)

 鹿児島出身の私が、大学の同級生だった主人の出身地熊本に来て丸11年。患者さんと交わす熊本弁もだいぶ板についてきたと思います。その間、仕事をしながらの3人の出産と子育て。長男、次男それぞれの入院などいろいろなことがありましたが、いつも誰かにお世話になり何とか乗り越えてきました。そんな中で自然に、そしてつくづく思うようになったのは『お陰さま』の気持ちです。
 まず、私を丈夫に生み育ててくれ、今でもいざというときには駆けつけてくれる両親のお陰さま。仕事を持つ私を理解し、いつも温かく見守ってくれる夫の両親のお陰さま。私の産休中や現在も仕事量を加減してくださる同じ職場の上司の先生方、ベビーシッターさん、ご近所の方、…のお陰さま。東日本大震災以降、日本人が皆意識した「支え、支えられる感謝の気持ち」を表す言葉が『お陰さま』になると思います。
 そういう私も、いっぱいいっぱいになるとそのストレスの矛先は主人に向かってしまいますが、それをうまくかわしてくれる主人にも「お陰さま」。
 私は常々、職種にかかわらず女性が仕事を持ちながら家庭生活を送るのは本当に大変なことだと思っています。ですから、同じ職場のさまざまな業種の女性や、同じく仕事を持ちながら小学校や幼稚園の役員を務めてくださる方たちにも、いつも頭の下がる思いです。
 私も患者さんから言っていただくこともあるこの言葉ですが、これからも私自身この『お陰さま』の心を忘れず、私にできることを私らしくやっていければと思っています。