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「あれんじ」 2012年5月5日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第二十一回】放射線科を選んで

女性医療従事者によるリレーエッセー 【第二十一回】

【第二十一回】放射線科を選んで
熊本市
放射線科医
東家 小晶

父親の影響もあり、物心がついた頃から医師を志していました。患者様を診察して治療まで行うというのが当時描いていた医師像でした。
 医学部を卒業するにあたり、実際に選んだのは放射線科でした。一般の方には馴染みが薄い診療科だと思いますが、放射線治療や核医学、血管内治療など幅広い分野があります。その中で私は、CTやMRIの読影といった画像診断という分野に携わっています。放射線技師が撮った写真を詳しく観察(読影)して診断するのです。
 読影室のコンピューターで読影し、主治医からの情報をもとに診断するため、医師の中でも患者様に接する機会が少ないほうだと思います。印象深い症例は、患者様のお名前やお顔よりも画像がまず頭に浮かんできます。
 最近、遠隔医療という言葉が新聞などで紹介されています。放射線科は特に遠隔医療が発達している診療科の一つです。インターネット通信で鮮明な画像を送れるのでそれが可能なのです。私も自宅で遠隔画像診断を行っている一人です。最大のメリットは、放射線科医がいない地域や病院にも放射線科専門医による画像診断が提供できることだと思います。放射線科医にとっても、移動時間を省略することでより多くの画像診断を行えるというメリットがあります。
 私は昨年10月に第二子を出産し、現在、子育て中心の生活を送っています。熊本市内の病院で画像診断のお手伝いをする一方、娘の昼寝中に自宅で遠隔画像診断を行っています。このような形で地域医療に貢献できる放射線科を選んでよかったと思っています。これからも私なりに仕事を続けていきたいと思います。